ブックタイトル創薬研究のための薬事と知財の連結戦略ガイド
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創薬研究のための薬事と知財の連結戦略ガイド
67実践対応│3 - 1 知財戦略マネジメントの実務ペプチドやタンパク質であればアミノ酸配列を規定する.このような医薬成分の物質特許は,最も強い基本特許となる.治療標的となる分子が新規であれば,これに作用をもつ化合物の修飾方法やスクリーニング法なども特許出願の対象にできる.用途特許には適応症を含めるが,想定される疾患名を物質特許と同様に適用の範囲を広くおさえるように規定するほか,具体的な疾患名をできるだけ多く記述するのが一般的である.開発段階の知財戦略 つぎに,研究開発では,製法の検討,製剤処方と薬物動態の検討が行われ,医薬候補化合物が最終的に選択されると,ヒトに対する投与を前提とした各種の非臨床試験が前臨床試験として実施される.前臨床試験は,臨床試験(治験)の条件検討として,毒性やADME〔吸収(Absorption),分布(Distribution),代謝(Metabolism),排泄(Excretion)〕などを評価する試験であり,この時点で治験に使用する製剤の処方が決まる.こうして,「製法特許」と「製剤特許」を出願すると,一連の特許出願はほぼ終わる.臨床開発段階に入ると情報は公開されるため,この時点までに特許出願を終えておかねばならない.ただし,治験に入ってか知財研究薬事基礎発明(物質・用途) 応用発明(製法・製剤)アイデア・試行錯誤基礎データ集積薬事データ取得・承認申請計画研究データ集積・実験的POC 取得特許ポートフォリオ策定・出願初期 中期(研究から開発へ) 後期研究開発ステージ薬効・薬理試験品質・規格ADME試験臨床研究・治験安全性・毒性試験図3 -1 「研究-知財-薬事」の戦略的対応事項研究開発ステージに沿った,戦略の重点化と必要データの集積が求められる.