ブックタイトル医療従事者のギモンに答える!トラブルに巻き込まれない著作権のキホン

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概要

医療従事者のギモンに答える!トラブルに巻き込まれない著作権のキホン

3④著作権者の許諾も得ていないような場合,に成立することになります.著作権侵害が認められた場合,法的に,損害賠償義務や出版物の発行の差し止め,場合によっては謝罪広告の義務が生じるとともに,社会的にも信用が大きく損なわれることになります.今回は,上記の①を中心に,解説していきたいと思います.「著作物」の意義著作権法上の「著作物」に該当しない他人の表現物を利用しても,およそ著作権侵害は成立しないため,著作権法上の「著作物」とは何かを理解することが重要です.もっとも,著作物性が認められず,著作権侵害が成立しないからといって,他人の論文を引用元も示さないで利用することは避けるべきです.モラル違反を問われるとともに,引用元の著作者などとのトラブルのもとになることがあります.著作権法上,「著作物」とは,①「思想又は感情」を②「創作的」に③「表現」したものであって,④「文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されています(2条1項1号).「思想又は感情」ではない客観的事実は,保護の対象とはなりません.事実自体に独占を認めることは,表現の自由や学問の自由に対する重大な弊害となり得るので,独占を認めるべきではないためです1).そこで,基礎研究や臨床試験の過程で得られたデータなどは,「著作物」ではありません(図1-1).どんなに医学的に価値の優れた実験データであっても,アウトカムC群(n=1,678)D群(n=1,377)ハザード比複合心血管イベント121 117 0.83 心血管死 26 22 0.88 心筋梗塞 29 32 0.70 脳卒中 22 19 0.98総死亡104 92 0.9113240(%)0 1 2 3 4 5 6累積イベント発生率(年):A 群:B 群図1-1 データは「著作物」とはならない第1章 著作権の基礎