ブックタイトル図解 機能形態学

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概要

図解 機能形態学

4 耳の構造と機能217B 内 耳 側頭骨内に位置する複雑な管状構造で,渦巻き状の蝸牛と,3 本の直交するループ状の管からなる半規管,そして蝸牛と半規管との連絡部にある前庭に大別される.いずれも骨性腔(骨迷路)の中に膜性の管(膜迷路)を含んでおり,内部はリンパと呼ばれる液体で満たされている.1. 蝸 牛(図11-12) 内部にある膜性の蝸牛管が聴覚受容器である.蝸牛内部は外リンパと呼ばれる液体で満たされるため,蝸牛管は外リンパに浸った状態にある.蝸牛は前庭窓と蝸牛窓で鼓室と連絡し,前庭窓はアブミ骨,蝸牛窓は膜で塞がれる. アブミ骨に伝えられた振動は前庭窓から蝸牛内に送られ,外リンパに振動を起こして蝸牛管内のコルチ器を刺激する.コルチ器に伝わった刺激は神経インパルスとなって中枢に送られる.コルチ器で感受される音の高さは各部位で決まっており,鼓室近くでは高い音,奥の方では低い音が感受される.2. 半規管(図11-13) 直交する3 本のループ状の管で,外側・前・後半規管に分けられる.内部には膜性半規管があり,その基部の膨大部にはリンパの流れを感受する膨大部稜が備わってる. 頭部の回転運動により,いずれかの半規管の内リンパが動き,膨大部稜を刺激することで回転の方向などが感受される.この情報は大脳皮質に送られるとともに,小脳や脳幹の神経核を介する反射を生じ,眼の位置や姿勢の調節が行われる.3. 前 庭(図11-14) 半規管と蝸牛の間にみられる径5 mm ほどの袋構造(卵形嚢・球形嚢)で,内部には平衡斑と呼ばれる感覚受容器を備えている.平衡斑は,前庭神経に連絡する有毛細胞とその上に並ぶ平衡砂からなり,直線加速度や身体の傾きによって平衡砂がずれると,有毛細胞の平衡毛が傾いてこれを感受する.2 つの平衡斑 卵形嚢の平衡斑は水平位にあって前後・左右方向の加速を感じ取るのに対し,球形嚢の平衡斑はほぼ垂直に配置され,重力による加速で刺激される.下りのエレベーターで感じる降下感は球形嚢で感じ取られると考えられている.