ブックタイトル図解 機能形態学

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概要

図解 機能形態学

742 呼吸器系の区分と構造 呼吸器系は外呼吸に働く器官系で,気道(鼻腔・咽頭・喉頭・気管・気管支)と呼吸部〔肺(肺胞)〕から構成される.このうち,気道とは外界と肺を結ぶ空気の通路をさし,呼吸部とはガス交換を行う部分をさす.通常,気道は上気道(鼻腔?喉頭)と下気道(気管?気管支)に区分され,気管支以下の気道は約20 回分岐して呼吸部(肺胞)に達する(図4-2).A 上気道の構造と機能1. 鼻 腔(図4-3)1)鼻腔の構造 吸気(吸い込まれた外気)はまず鼻腔を通る.鼻腔は前方の外鼻孔で外界に開き,後方の後鼻孔で咽頭鼻部(上咽頭;鼻咽頭)に連絡する空洞で,鼻中隔で左右に分かれている.左右の鼻腔は,外側壁にある3 つの棚状突起(上鼻甲介・中鼻甲介・下鼻甲介)によって上・中・下鼻道に不完全に仕切られ,吸気が鼻腔粘膜に触れながら流れる構造となっている. 鼻腔内面は線毛上皮からなる粘膜で覆われ,粘膜下には豊富な毛細血管が存在する.吸気がこの粘膜に接しながら鼻腔を通る際,吸気中の塵は鼻毛により排除される.同時に,鼻腔では粘膜下の毛細血管との間で熱交換が起こり,空気が加湿・加温されることで,肺に乾燥した冷気が入るのを防ぐ.これにより,外気が肺胞に至るまでの約0.5 秒の間に,吸温度37℃,湿度100%に調節される. このように,鼻腔粘膜はその全体が血管に富むが,とくに鼻中隔前部には豊富な毛細血管網を備える領域(キーゼルバッハ部位;リトル部位)があり,鼻出血を起こしやすい部位として知られる.2)鼻腔の感覚 鼻腔の感覚は三叉神経に支配されており,鼻腔粘膜が刺激されると,その情報は橋?延髄にある三叉神経主感覚核に送られる.三叉神経核に入った情報は,視床経由で大脳皮質に送られて意識にのぼる(鼻のムズムズ感など)が,同時に三叉神経(第Ⅴ神経),顔面神経(第Ⅶ神経),迷走神経(第Ⅹ神経)などの運動性脳神経核や,呼吸筋を支配する脊髄前角の運動ニューロンに連絡し,クシャミ反射を起こす.