ブックタイトルプログレッシブ生命科学
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プログレッシブ生命科学
222視細胞の光受容感度が増大することに起因しており,暗順応とよぶ.暗順応は10分以内で完了する錐体の順応(第1 相)と,数十分にわたって起こる杆体の順応(第2相)に区別される.ⅳ)黄斑 眼底の中心部を黄斑,黄斑の中心のやや陥没した部位を中心窩とよぶ.黄斑の鼻側には網膜神経節細胞から出た軸索が集まる視神経乳頭(視神経円板ともいう)があり,それらの軸索は眼球を貫いて外に出て視神経(視束)となる.視神経乳頭からは網膜中心動脈と網膜中心静脈も4 本ずつ出入りしている.視神経乳頭には視細胞がなく,対応する視野は見ることができないため盲点とよばれる.ⅴ)外側膝状体 網膜神経節細胞の軸索である視神経は,鼻側の半分が交叉して交叉性線維となり,耳側半分の交叉しない非交叉性線維とともに視索とよばれる神分極性の受容器電位が発生するとともに,杆体から神経伝達物質であるグルタミン酸の放出が減少する.消光時にはこれと逆のことが起こる(図13- 1B).このように,網膜に到達した光シグナルは視細胞から放出されるグルタミン酸の量的変化に変換され,順次,双極細胞,網膜神経節細胞へと伝達されていく(図13 - 1 A). ヒトやサルの中心窩の錐体には,赤錐体,緑錐体,青錐体の3 種類があり,それぞれ赤,緑,青の波長に極大吸収をもつ視物質をもっている.視覚系は3 種類の錐体から出力されるシグナルの割合からもとの色を推定し,その色覚を生み出している.ⅲ)明順応と暗順応 明所から暗所に入ると,入った直後は見えないが,その後,徐々に見えるようになる.これは,視物質の分解が減り,その総量が増加することで図13 - 1 視細胞と光化学反応Na+Ca2+消光時cGMP光(A) (B)外節内節錐体杆体双極細胞網膜神経節細胞視神経外側膝状体グルタミン酸の放出減少光陽イオンチャネルの閉鎖cGMP5′-GMPGタンパク質PDEロドプシンメタロドプシン過分極性の受容器電位発生PDE:ホスホジエステラーゼcGMP:サイクリックGMP5′-GMP:5′-グアニル酸