ブックタイトルプログレッシブ生命科学

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概要

プログレッシブ生命科学

252を多形核白血球,あるいは多核白血球といい,核が分葉していないリンパ球,単球を単核白血球あるいは単核球という).好中球は数種類のTLR を発現し,異物を認識して炎症反応に関与する. 好中球は骨髄で産生され,末梢血中に放出され,短命である.細菌などの侵入の際にみられる急性疫反応にかかわる一群の血中タンパク質で,抗体により活性化され,細菌などの細胞膜を破壊する.ⅱ)好中球 好中球neutrophil は,細胞質に大きな顆粒をもつ顆粒球の一種で,末梢血中の多形核白血球の90%以上を占める(白血球は核が分葉しているものToll 様受容体の構造と機能 Toll 様受容体(TLR)は細胞膜を貫通するタンパク質で,細胞外にはロイシンに富む繰り返し構造をもち,その構造を介して異物を認識する(図).一方,細胞内にはインターロイキン- 1 受容体(IL - 1 受容体)と相同性の高い領域〔TIR(Toll/IL - 1 receptor)ドメイン〕を共通にもつ.TIR ドメインには,やはりTIR ドメインをもつMyD88,TRIF,TIRAP,TRAM などの分子が会合し,その下流のTRAF6 を介してNF - κB 経路が活性化され,その結果,サイトカインcytokine の産生が誘導される.NF - κB は転写因子としてはたらくタンパク質複合体で,ストレスやサイトカイン刺激によって活性化され,免疫反応,炎症反応で中心的にはたらく.サイトカインは,免疫細胞を含む種々の細胞から分泌されるタンパク質で,特異的な受容体を介して細胞にシグナル伝達する.そのなかでも,免疫系で重要なはたらきをするインターロイキンinterleukin(IL)は,白血球間の相互作用にはたらくことから,その名前が付けられた. また,TLR の種類によっては,IRF(interferon regulatory factor,インターフェロン制御因子)ファミリー分子を介したインターフェロン誘導性遺伝子の発現に至る経路も活性化される. 現在,10 種類以上のTLR が知られており,TLR を介して自然免疫系の細胞にシグナルが入ると,種々のサイトカインが産生されてほかの自然免疫系の細胞サブセットが活性化されるとともに,獲得免疫系がはたらきやすい状態が生み出される. そのほかに細胞内で病原体を認識するPRR としては,NOD 様受容体Nod - like receptor(NLR)群や,RIG - I 様受容体RIG - I - like receptor(RLR)群などがある.NLR はおもに細菌由来の成分,RLR はウイルス由来RNA を認識する.これらはいずれも病原体の細胞内センサーとしてはたらき,感染細胞に種々の炎症性サイトカイン産生を誘導する.図 Toll 様受容体(TLR)の構造と異物の認識機構IL-1細菌由来リポタンパク質マイコプラズマリポタンパク質フラジェリンイミダゾキノリンヘモゾイン一本鎖RNA CpG DNAリポ多糖二本鎖RNATLR1 TLR5 TLR7 TLR9 TLR4 TLR3IL-1 TLR2受容体TLR2TIRAPMyD88NF-κB IRF3TRIFTIRAP TRAMTLR6IL-1受容体アクセサリータンパク質炎症性サイトカインの産生インターフェロン誘導性遺伝子の発現誘導