ブックタイトルがんと免疫の研究Update

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概要

がんと免疫の研究Update

20.次世代ペプチドワクチン療法の開発17720たペプチドワクチンの実際,細胞移入療法と免疫チェックポイント阻害剤におけるがん拒絶と副作用の機序,そして,筆者らが理想的と考えるがん幹細胞抗原について概説し,次世代ペプチドワクチン療法の開発について述べる.20-1 がん抗原の同定1 forward immunology ヒトCTL に認識される多くのがん抗原は,がん細胞株と自家CTL からなるautologous pairを用いたcDNA ライブラリー発現クローニング法により単離される.世界で初めて同定されたヒトがん抗原のMAGE(melanoma antigen)は,この方法によって同定され,この方法はがん抗原:がん細胞に発現していて,ヒト免疫に認識されうるタンパク質全般を指す.本章では,とくにタンパク質に由来する8 ?10 個のアミノ酸からなるペプチドがHLA クラスⅠによって細胞表面に提示され,細胞傷害性T 細胞(CTL)によって認識されるものをがん抗原とよんでいる.ペプチドワクチン:がん抗原に由来するペプチドをがん患者に接種することで,がん抗原ペプチド特異的免疫応答を誘導して,がんの拒絶を目指す治療法.がん抗原の同定によって開発された.がん幹細胞:自己複製能,薬剤・放射線耐性能,造腫瘍能,分化能をもつ細胞集団を指す.種々の抗がん治療に抵抗性であり,再発・転移の源といわれている.筆者らはとくに造腫瘍能の高さに着目してがん幹細胞を分離・解析している.解説図20-1 ペプチドワクチンの概念図がん抗原由来ペプチドワクチンペプチド特異的細胞傷害性T細胞(CTL)を抗原刺激樹状細胞CTLの増殖と活性化がん細胞の殺傷接種がん抗原ペプチドを提示するがん細胞CD8+ T細胞