ブックタイトルがんと免疫の研究Update

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概要

がんと免疫の研究Update

17.iPS 細胞技術を用いたがん抗原特異的T 細胞のクローニングと再生14917びTCR-iPS 細胞からCTL を再生する実験も進めている.おわりに:T 細胞製剤という新しい分野を提案 iPS 細胞の臨床応用については,薬剤のスクリーニングや毒性試験などへの応用も考えられているが,第1 には,欠損した組織の再生細胞による補完が目標とされている.しかし,その対象となる患者の数は実はそう多くない. この研究は,がんを対象とする可能性を提示してきた.本章で紹介したWT1抗原は広くいろいろな固形腫瘍で発現していることが知られており,また,将来的にはほかのがん抗原や変異抗原を標的にすることにより,ほとんどのがんを治療の対象にできる可能性がある.そうなれば,対象となる患者数は桁違いに増えることになるだろう. より俯瞰的な視点に立ってみよう.薬剤の歴史をみると,生薬の時代から,抽出・精製あるいは合成した低分子化合物の時代を経て,現在はより高分子であるタンパク質を用いた生物学的製剤,なかでも抗体製剤が大きな分野を占めるようになっている.近い将来,今度は図17-6 再生免疫細胞治療の具体的な構想WT1抗原を発現する急性骨髄性白血病(AML)を対象とした臨床研究を目指している.高齢で骨髄移植の適応がない患者で,化学療法を施行後,再発がみられた症例を対象に考えている.最初の例として,自家移植と他家移植のどちらが適切か,また,T-iPS細胞法とTCR-iPS細胞法のどちらが適切かについて,個々の要素を勘案して検討を進めているところである.AML患者化学療法108~109個再発例健常人高齢(65歳以上)WT1抗原陽性急性骨髄性白血病成熟CTL大量培養再生免疫細胞治療特異的CTL初期化T-iPS細胞iPS細胞TCRTCR-iPS細胞特異的CTL初期化T-iPS細胞iPS細胞TCRTCR-iPS細胞どの方法が適切かを見極めるAML患者成熟CTLの投与