ブックタイトルわかる!身につく!病原体・感染・免疫 改訂3版

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概要

わかる!身につく!病原体・感染・免疫 改訂3版

50 免疫と生体防御機構1) 体表面の自然免疫(皮膚・粘膜および分泌液による生体防御)a.皮膚・粘膜 病原体など異物の侵入は皮膚や粘膜から起こりやすい.これに対して,正常な皮膚は,強固な物ぶ つり理的てきバリアーとして体組織内への異物の侵入を防いでいる.皮膚の角 かくしつそう質層は厚く,そこに付着したものは新し んちんたいしゃ陳代謝にともない垢あ かとなってはがれ落ちる. 粘膜は,皮膚よりも物理的バリアーとしての抵抗性が弱く,多くの病原体の侵入部位となりやすい.そのため,粘膜では生理的な作用によって細菌の定着や体組織内への侵入を防ぐはたらきが備わっている.体内の粘膜(呼吸器,消化器,泌尿・生殖器など)は,粘ね んえき液・分ぶんぴつえき泌液(唾だ えき液,涙,鼻びじゅう汁など)で防御され,病原体・異物はこれらに包みこまれて上皮細胞に付着することができずに洗い流される.また,粘液・分泌液は,種々の酵素(リゾチームlysozyme*など)を含み,殺菌作用がある. 一方,外傷・火や けど傷などで傷ついた皮膚・粘膜は,その防御機能がかなり低下し,病原体などの組織侵入が起こりやすくなる.b.気 道 気道(呼吸器)は,外界の空気を取り入れる部位で,空気とともに細菌やウイルス,その他の微粒子が侵入しやすい.そのため,鼻毛や気管・気管支の線毛などによって体内に侵入しようとする異物をとらえ,線毛運動や咳・くしゃみによって体外へ排出する.c.消化管,その他 消化管では,通常,胃酸や消化液が強い殺菌作用をもつ.しかし,病原体などが飲食物とともに侵入した場合は生き残りやすい.また,手術で胃を切除したり,胃酸・消化液の分泌が少ない人では感第一次防御,抗原非特異的防御異 物(病原体など)物理的バリアー(皮膚・粘膜)侵 入貪食・食菌リンパ球に抗原提示免疫食菌マクロファージの活性化好中球・マクロファージの集合補体の活性化炎 症免疫応答攻撃指令細胞性免疫液性免疫抗体産生第二次防御,抗原特異的防御自然免疫ヘルパーT細胞細胞傷害性T細胞B細胞形質細胞体組織外体組織内ThTcB P攻 撃攻 撃血管透過性の亢進血流増加・血管拡張血液成分の漏出(食細胞・液性成分)臨床所見発熱,発赤腫脹,疼痛獲得免疫図3 -4 炎症:自然免疫と獲得免疫のはたらき* ムラミダーゼmuramidaseともいい,細菌細胞壁の主成分であるペプチドグリカンを加水分解して菌を破壊する作用がある.組織,血清,食細胞のリソソーム顆粒中などにも広く存在する.