ブックタイトル免疫学コア講義 改訂4版
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免疫学コア講義 改訂4版
14.抗原認識レパートリー形成と免疫寛容117は,クローンごとに異なるV 領域をもつIgM 抗体を細胞表面に発現する(sIgM).この段階でのB 細胞レパートリーはきわめて多様性に富み,自己抗原に対する特異性も含んでいる.αβ型TCR とは異なり,抗体はMHC の関与なしに純粋に抗原較的強いTCR シグナルによって選択されている.このような選択をアゴニスト選択とよぶ.3)B 細胞レパートリーの形成と中枢性寛容 骨髄内でプレB 細胞から分化した未熟B 細胞図14-1 胸腺におけるT 細胞レパートリーの選択正の選択負の選択TCRβ遺伝子組換え → TCRα遺伝子組換え(ランダムな初期レパートリーの形成)CD4-CD8-ダブルネガティブ胸腺細胞CD4+CD8+ダブルポジティブ胸腺細胞CD4+CD8-またはCD4-CD8+シングルポジティブ胸腺細胞無視による細胞死弱いTCRシグナルもしくはシグナルなし強いTCRシグナル胸腺髄質上皮細胞/樹状細胞胸腺皮質上皮細胞成熟(一次レパートリーの形成)皮質髄質適度なTCRシグナル自己MHC+自己ペプチドTreg への分化(アゴニスト選択)アポトーシス比較的強いTCRシグナルTCRシグナルあり自己MHC+自己ペプチドAdvanceAIRE と負の選択 胸腺における負の選択は,胸腺以外の組織で機能する自己成分に対して反応するT 細胞をも排除しなければならない.このため,本来,胸腺以外の臓器や組織でのみ機能する,すべてではないにしても多くのタンパク質(たとえば,インスリンなどの組織特異的抗原)を低レベルで発現させる機構が胸腺髄質上皮細胞で働いている.この機構に必須な分子の1つがAIRE(autoimmune regulator)とよばれる胸腺髄質上皮細胞に特異的に発現する転写因子様タンパク質である.当初,AIRE 遺伝子は自己免疫性多腺性内分泌不全症1型として分類されるAPECED(autoimmune polyendocrinopathy-candidiasis-ectodermaldystrophy)の原因遺伝子として発見された.そして,確かにAIRE を欠損したマウスの胸腺では,多くの胸腺外で機能するタンパク質の遺伝子発現がみられなくなる.また,ヒトAIRE 遺伝子の多型はさまざまな自己免疫疾患に対する感受性に影響する.これらのことは,中枢性寛容の破綻が自己免疫疾患の原因となることを示しているが,一方,APECED においてさまざまな症状が現れるのには時間がかかることから,たとえ自己反応性T 細胞が中枢性寛容によって十分に除かれなくても,ある程度は末梢性寛容機構が自己免疫疾患の発症を抑制できることも同時に示唆している.