ブックタイトル免疫学コア講義 改訂4版

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概要

免疫学コア講義 改訂4版

171 膠原病には,古典的膠原病の6疾患である全身性エリテマトーデスsystemic lupus erythematosus(SLE),全身性強皮症systemic sclerosis (SSc),皮膚筋炎・多発性筋炎dermatomyositis/polymyositis(DM/PM),関節リウマチrheumatoid arthritis(RA ),リウマチ熱rheumatic fever(RF),結節性多発動脈炎polyarteritis nodosa(PAN )と,膠原病類縁疾患であるシェーグレン症候群Sjogrensyndrome,ベーチェット病Behcet disease などの疾患が含まれる(表19 -1).19-1 免疫の異常と疾患 第1章~第18章( 基礎免疫学編)で述べてきたように,ヒトは細菌やウイルスなどの侵入から身体を守るために,非常に巧妙で精緻な免疫系を備えている.しかし,この巧妙で精緻な免疫系がいったん破綻するとさまざまな疾患が起こる.免疫の疾患はその原因によって(病因論的に)大きく,① 免疫機能が自己に向けられた自己免疫疾患,②花粉や食物など,一般的には無害な非自己(外来異物)に対して免疫系が過剰に反応するアレルギー疾患,③ 免疫機能の低下した免疫不全症の3 種類に分類される.また,癌は異常な自己に対して免疫が反応できない病態ととらえることもできる.19-2 膠原病・アレルギー疾患の概念 自己免疫疾患には,慢性甲状腺炎(橋本病)や1型糖尿病のような臓器特異的な自己免疫疾患から,第21章で述べる全身性エリテマトーデスや混合性結合組織病のような臓器非特異的な自己免疫疾患まで,幅広い疾患が含まれている(図19-1). 膠原病collagen disease は,1942 年に米国の病理学者P. Klemperer らにより提唱された病理形態学的概念で,全身の結合組織にフィブリノイド変性という共通の病理学的病変がみられる疾患群の総称である.膠原病は多臓器障害をきたすが,主症状として運動器(関節,筋肉,腱,靱帯)の症状を示す場合が多く,臨床的にはリウマチ性疾患として考えられている.また,多臓器症状に加えて免疫血清学的異常が認められ,多彩な自己抗体が見いだされることが多いことから,病因論的には自己免疫疾患としてとらえられている.19 臨床免疫学概論臨床免疫学図19 - 1  自己免疫疾患のスペクトル[Brostoff J, Scadding G, Male DK, Roitt IM:Clinical Immunology:An Illustrated Outline, Mosby(1994)を一部改変]臓器特異的臓器非特異的慢性甲状腺炎(橋本病)原発性粘液水腫バセドウ病(グレーブス病)悪性貧血自己免疫性萎縮性胃炎アジソン病早発性閉経(少数例)1型糖尿病グッドパスチャー症候群重症筋無力症男性不妊症(少数例)尋常性天疱瘡類天疱瘡交感性眼炎水晶体原性ぶどう膜炎多発性硬化症(?)自己免疫性溶血性貧血特発性血小板減少性紫斑病特発性白血球減少症原発性胆汁性肝硬変症自己免疫性肝炎特発性肝硬変症(一部)潰瘍性大腸炎シェーグレン症候群関節リウマチ皮膚筋炎全身性強皮症混合性結合組織病円板状エリテマトーデス全身性エリテマトーデス