ブックタイトル「はたらく」を支える!職場×発達障害

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概要

「はたらく」を支える!職場×発達障害

91た,平日の午後には毎日強い疲労感を感じ,帰りの電車で降りる駅を乗り過ごすことが増えた.さらに,気分の浮き沈み,下痢,不眠などが頻繁に現れるようになり,メンタルクリニックを受診,うつ病と診断され1 回目の休職となる.休職後一時は改善したように見えたが…3 ヵ月の休職で症状は改善し,復職する.復職後は時短勤務から始め,仕事のやり方は休職前と同じようにしていたが,疲労感は以前ほど感じず,休日も活発に趣味の活動をしていた.半年で通常勤務となり,少しずつ症状が見られるようになってきていた.復職の約1 年後,ある仕事上のミスを同僚から指摘された際,同僚に強く反論し,怒りをぶつける.今まで,職場で怒りを表すようなタイプではなかったので,その場面を見ていた上司が「何かおかしい,精神科に通院し服薬していることで性格が変わってしまったのでは?」と驚き,転院を勧める.双極性障害との診断,2 回目の休職転院先のクリニックでは双極性障害と診断され,2 回目の休職に入る.その後,上司や主治医からの勧めで当院に転院しリワーク外来を受診,リワークプログラムへの参加を開始した.そして,各種の検査やリワークプログラム内での行動観察を行った結果,双極性障害に加え,発達障害の傾向もあると診断され,当院の「成人の発達障害の方のためのリワークプログラム;SSR」に参加する.Ch eck Po int・ 本来有している発達障害の特性を,就業経験に基づく工夫と努力でカバーし「健常者を演じる」ことが一定程度できている・ 就業場面で「記憶する」,「相手の気持ちを読む」,「場の空気を読む」に多大なエネルギーを費やしてしまう・ 就業場面での疲労感が強く,作業効率が悪くなるという悪循環が始まり,うつ症状が現れる・ 軽躁状態,うつ状態のときは「健常者を演じる」ことが困難になる3 発達障害の心理社会療法