ブックタイトル「はたらく」を支える!女性のメンタルヘルス

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概要

「はたらく」を支える!女性のメンタルヘルス

A 現代社会における女性のストレス問題「女性の活躍推進」,「非正規雇用者の待遇改善」,「ワーク・ライフ・バランス」は,働く女性の喫緊の課題となっている.少子高齢社会への加速化に伴い,“ 女性の活用に留まらない活躍”や働き方改革を目指し,女性活躍推進法が2015(平成27)年8 月に成立,翌年4 月に施行された.その一方で,女性の雇用不安,仕事家庭葛藤(ワーク・ファミリー・コンフリクト)によるストレス問題,メンタルヘルス不調は減らない.いわゆるパワーハラスメント(パワハラ),セクシュアル・ハラスメント(セクハラ),マタニティ・ハラスメント(マタハラ)などは雇用関係に起因している場合も多い 1).また,女性の就労パターンは,結婚,出産,育児,介護などライフイベントの影響を受けやすく,ライフステージやワーク・ライフ・バランスがしばしば就労継続の際,問題となる.特に,世界経済フォーラム(WEF)が2016 年に発表した各国の男女格差(ジェンダー・ギャップ)についての報告書で,日本は,144 ヵ国中111 位と低迷していた(表1-1-1).なかでも「経済活動への参加と機会」「政治への参加」が遅れている.B 女性雇用の変容と現状女性雇用の状況はどのように変化してきたのだろうか.そもそも日本では,「男は外で働き,女は家庭を守るべき」とする固定的な性別役割分業意識が今も根強い.高度経済成長期には,終身雇用,年功序列賃金に代表される日本的雇用慣行が広くみられ,男性労働者の雇用もその家族の生活もおおむね中流で安定していた.その頃,多くの女性が専業主婦として,家事,育児,介護等家庭生活の全般を担っていた.やがて高度経済成長期は終焉を迎え,女性の高学歴化とともに社会進出が増大した.20 代の正規社員は出産・育児による退職,30 代のキャリア中断,40 歳前後からのパート労働という女性特有のM字型労働力構造が形作られていく.専門職や一部の一般職を除き,多くの中年女性労働者は家庭を守りながらほどよく働きたい兼業主婦である.それゆえ,その大半はパートやアルバイトなど非正規雇用を自ら選択していた 2).したがって,今なお管理職の女性比率は低い.従業員100 人以上の企業の管理職(課1女性のストレスとメンタルヘルス2