ブックタイトル検死ハンドブック 改訂3版
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検死ハンドブック 改訂3版
b) 頭皮の厚さは成人で0.5?0.8 cmである.4 ) 死体検案時の注意点a) 頭髪で皮下出血や表皮剥脱を見落としやすい.b) 必ず頭部に触れて検査する:血腫や骨折の発見のため.c) 頭髪の防御効果で創傷が軽減されることがある.d) 頭部外表に創傷がなくても頭蓋内損傷を否定できない:頭髪の防御効果や介達的外力(特に顔面)のため.e) 逆に,頭部外表に創傷を認めても頭蓋内損傷があるとは限らない:特に頸椎・頸髄損傷に注意する.c.頭蓋骨骨折1 ) 重要性a) 外力の作用部位,程度,方向,複数個あれば発生順序の推定のため.b) 凶器の推定のため.c) 重症度の推定のため.d) 骨折断端によって二次的に頭蓋内損傷を発生させることがある.2 ) 分類頭蓋骨骨折は外力の程度,形態,メカニズム,個数,開放性か否かで分類される.主な分類は表6-15を参照のこと.3 ) 骨折のメカニズム頭蓋骨に限らず,骨は圧迫に強く,引っ張りに弱い.さらに頭蓋骨の特徴(不整球状,板状で厚さは一様でなく,多数の穴があるなど)が関係している.a) 破裂骨折ⅰ) 頭蓋全体が変形することによって生じた骨折(図6-26a):線状(亀裂)骨折が代表的である.ⅱ) 頭蓋底骨折は輪状骨折を除き,破裂骨折である.ⅲ) 打撲部位は骨折線上,あるいはその延長線上にある.ⅳ) 凶器は作用面の広い鈍体(地面など)が多い.ⅴ) 後発の骨折線は先発のものを越えない:骨折線発生の順序の推定に重要.ⅵ) 頭蓋骨外板に骨折がなくても内板のみに存在することがある(図6-27):外板より内板の骨折線のほうが長くなりやすい.b) 屈曲骨折ⅰ) 作用面の限局した凶器(カナヅチなど)で強打された場合(図6-26b).ⅱ) 陥凹骨折,頭蓋底打ち抜き骨折(輪状骨折),貫通射創などが代表的である.ⅲ) 打ち抜き部周囲に放射状に走る線状骨折を伴うことが多い.ⅳ) 打ち抜き部の大きさが凶器の作用部の大きさや形状を示唆している.ⅴ) たとえば,カナヅチが斜めに作用すると階段状骨折となる.442