ブックタイトルいまどきの依存とアディクション

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概要

いまどきの依存とアディクション

170ミニ紙上討論会「断酒か? 節酒か? それが問題だ」[猪野亜朗,杠 岳文,武藤岳夫,宮崎 仁(司会)]宮崎: 本書には,アルコール問題に関する対処についての文章がいくつか収載されていますが,編集の過程におきまして,「ハームリダクションとして,節酒という指導・介入もあり」という趣旨のものと,「断酒が必要な事例を専門治療へ紹介することを優先する」という趣旨のものとが混在していることに気づきました. 双方の文章をよく読み込むと,「節酒でもよい」場合と,「断酒じゃなきゃダメ」な場合とでは,患者の状態や背景に違いがあるということが理解できるとは思うのですが,アルコール問題に無知なプライマリ・ケア医が混乱や困惑をするのではないかという懸念があります. そこで,なぜこのような指導の違いがあるのかにつきまして,「断酒優先」派,「場合によっては,節酒もあり」派,双方のお立場の先生に,「Pro and Con( 賛否両論)」のようなスタイルで,この問題に関する討議をお願いして,断酒と節酒の指導に関する理解を深めることができればと思います.猪野: アルコール問題に関する簡易介入法であるSBIRT(表Ⅱ -3-1 参照)のうちには,SBI(Screening, Brief Intervention)の部分と,RT(Referral to Treatment)を要する部分とがあります. 実際の事例も,SBI を実施して「節酒でいく事例」,「断酒が必要だが,患者が節酒を選択する事例」,「断酒が必要で患者も断酒を選択する事例」,「RT が必要な事例」に分けて考えれば,プライマリ・ケア医にもうまく理解していただけると思います. 私の考えは,米国National Institutes of Health(NIH)作成の「飲酒を再考する」と「飲み過ぎている患者を援助する:臨床家の指針」に基づいています.そこでは,アルコール乱用とアルコール依存症には,「断酒が強く推奨される」と提唱しています.飲酒を再考する Rethinking Drinkinghttp://pubs.niaaa.nih.gov/publications/RethinkingDrinking/Rethinking_Drinking.pdf