ブックタイトルいまどきの依存とアディクション
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いまどきの依存とアディクション
3プライマリ・ケア医による解答健康診断で肝逸脱酵素の上昇を指摘され,診療所を含めた医療機関を受診される方を日常診療ではよく目にします.ほとんどの方は自覚症状がなく,会社から受診するように指示を受けて,しかたなく受診するということも多くあります.こういった方々の事後措置・保健指導という立場で私たち医療者がどうかかわるのかは,腕の見せ所でもあります.この後の診療の流れとしては,以下の3 点に注意しながらかかわることが重要と思われます.①診断をつけること(精密検査および再検査)の必要性②追加の情報収集~アルコール,薬剤を含めた原因検索,周囲の人的資源の同定③患者本人への説明1) 診断をつける1 点目の診断に関して,まずは肝逸脱酵素の上昇をきたす器質的な疾患を除外することから始めるのが,当たり前ではありますが重要です.肝胆道系の閉塞機転の有無をチェックし,外科的対応の必要性について検討していきます.γ -GTP がやや高すぎるきらいはありますが,内科的にはアルコール,ウイルス,薬剤,非アルコール性脂肪肝炎(NASH),男性であり頻度は低いですが自己免疫疾患などが鑑別に上がると思われます.腹部エコーやHBs 抗原,HCV 抗体などのチェックを行います.閉塞機転がなく,検査上も特に器質的疾患が同定されなければ,肝逸脱酵素の上昇はアルコールや生活習慣が原因の可能性が高くなります.MCV 高値や中性脂肪高値,尿酸高値はアルコール過剰摂取に伴う所見として矛盾しません.2) 追加の情報の収集この患者のアルコールに関する情報で今後必要なのは,①定期的な飲酒量,② binge drinking(ビンジ飲酒:短時間で多量に飲むこと)の有無,③依存症の有無です.また今回の初診の段階で知りたいのは,A危険ドラッグ非向精神薬/OTC薬危険ドラッグ以外の違法薬物ベンゾジアゼピン系抗不安薬・向精神薬その他のアディクションアルコール