ブックタイトルぼくらのアルコール診療
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ぼくらのアルコール診療
精神科医より 日本プライマリ・ケア連合学会で「多量飲酒者に対するブリーフ・インターベンション」のワークショップを開催した際に,アルコール問題に熱心に取り組む先生方の多さに,驚いたと同時にほっとした記憶があります.というのも,私自身,総合診療科に身を置いていた時期があり,アルコール問題を抱える人の多さと,対処法を知らない自分自身の腑甲斐なさ,精神科医療に繋ぐことができないもどかしさを痛感していたからです.私は現在,精神科医として精神疾患の予防をテーマに臨床および研究を行っており,アルコール問題の予防にも取り組んでいます.今回の企画の話をいただき,アルコール依存症に特化した専門家ではない私が,編者としてどれだけ役に立てるのだろうかとも思いました.しかしながら,自身の経験から,総合診療医側と精神科医側の両方からの視点を,読者の皆さまに共有していただきたいという思いを込めて,編集いたしました.本書がアルコール医療の発展の一助となりますことを心より願います. 最後に,本書の出版に際しては,多くの方々に大変お世話になりました.出版全般において多大な貢献をいただいた南山堂編集部の方々に感謝の意を表します.また,監修していただきました伴 信太郎 先生,樋口 進 先生,ご執筆くださったすべての先生方,本書の出版に当たってたくさんのことをご協力いただきました日本若手精神科医の会の先生方には,この場をお借りして御礼を申し上げます.久我弘典 アルコールを専門としない医療スタッフを対象に,アルコールに関する書籍を企画するというお話をいただき,心から感謝申し上げます.通読するだけでなく,その場ですぐに使えるツールとして,外来書棚の必需品を目指そうと思い,作成しました. 皆さまは「教科書どおりに治療したのに,なぜかうまくいかない」という経験はありませんか? だからこそ,指導医はそのあたりを伝えることに尽力するのですが,そういったノウハウは自分の専門分野にとどまってしまいがちです.本書はその傾向を考慮し,臨床現場の困りごとに具体的にかかわる技術を提供することを目標としています.総合診療的な視点,専門医療からみた視点,そして,研修医の視点をバランスよく取り入れたつもりです.研修医の意見は,主に三重県立総合医療センターに勤務する先生方から,指導医のいない場所で,こっそり「現場で困っていること」を教えていただきました.この場を借りて御礼申し上げます.長 徹二