ブックタイトル土曜日の紹介は嫌われる
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土曜日の紹介は嫌われる
病院総合診療と診療所家庭医のコラボレーション! 専門医制度の大きな転換期を迎え,新たにできる総合診療専門医は19 番目の基本領域の専門医としてスタートすることとなった.しかし,「総合診療医はへき地にいればよい」という声が漏れ聞こえ,都市部への集中を防ぐというより,都市部から排除されるのではないかと危惧される状況である. 総合診療医はよく,家庭医と認識される.しかし,家庭医と同様の理論的基盤をもつ総合診療医が病院にいることのメリットは大きい.たとえば都市部では,専門が細分化されすぎた弊害で,「専門外」として救急患者の受け入れ拒否が頻繁に起こっているが,幅広い守備範囲をもつ病院総合診療医がいれば対応可能だ.診療所からの紹介も,病院総合診療医を窓口として一本化できる. そして病院総合診療医の専門性を語るうえでもっとも重要なポイントは,守備範囲の広さに加え,院内外の連携のハブとしての役割と,マルチモビディティ(multimobidity)や複雑な心理社会倫理的背景をもつ患者の問題解決だろう.本書のタイトル「土曜日の紹介は嫌われる」に象徴される病院?診療所間の関係の閉塞感や停滞感は,病院総合診療医と診療所家庭医が「家庭医療」という共通言語でコミュニケーションを重ねることで解決につながる. 本書の全10 回のカンファレンスはどれも味わい深く,病院側にも診療所側にもさまざまな気づきをもたらした.東京北医療センターと生協浮間診療所は,たまたま近所に心通わせる者同士がおり,UK カンファ(生協浮間―東京北 病診連携カンファレンス)という形でコミュニケーションが成功した.ぜひ読者も,本書でその臨場感を体験してほしい.そして,このようなカンファレンスが全国の地域医療の現場で行われ,数々の患者の問題を病院と診療所が協働して解決し,地域住民の幸せにつながることを願っている. 最後に,かねてよりの悲願だったUK カンファ開催のきっかけをつくり,本書の製作に尽力してくださった,編集者の宇津木菜緒さんと伊藤毅さん,片桐洋平さんに深甚の感謝を申し上げる. 2017 年10 月南郷栄秀はじめに