ブックタイトル認知症診療に役立つ77のQ&A

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概要

認知症診療に役立つ77のQ&A

18 物忘れを心配して,あるいは認知症ではないかと疑って患者さんを連れてきた家族から病歴を聴取するとき,「物忘れはひどいのですが日常生活に支障はありません」「生活には困っていません」といわれることがある.日常生活に支障(生活障害)がなければ認知症の診断条件を満たさないことから,「認知症ではない」と安易に判断していることが多いのではなかろうか?日常生活で本当に支障がないのかを確認する 家族は,日常生活に困ることはないと述べるが,本当にそうなのか否かをさらに確認することが大切である.実際には生活障害がみられるのに家族があまり深刻に考えていない場合もある.生活障害はないといわれても,いくつか実例をあげて生活の様子を尋ねるようにしたい.「季節に合った衣服を選び,適切に整容ができるか」「自分から進んで入浴するか」「(現役の主婦ならば)料理の味に変化はないか,味つけが辛くなってきていないか」「(いままで習慣で行っていた)風呂の掃除をするか」など,その患者さんの生活状況に合わせた質問をすることで,実は生活障害が存在していることが判明するかもしれない.認知症に進展していても高齢者では生活障害が目立たない場合もある.その患者さんに即した生活状況を尋ねることが必要.その時点で認知症の有無を判断できないときには半年から1年間の経過観察期間を設けるとよい.Aかかりつけ医よりかかりつけ医よりQ 08物忘れはみられるが生活に支障はないと家族からいわれたとき,どう考えればよいでしょうか?