ブックタイトルかかりつけ医・非専門医のためのレビー小体型認知症診療
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かかりつけ医・非専門医のためのレビー小体型認知症診療
30A 脳形態画像検査のCT あるいはMRI のみでレビー小体型認知症の診断をしてはならない.脳形態画像検査を施行する意義は,頭蓋内の器質的疾患,治療可能な病態の除外である.脳形態画像検査で認知症の診断はできない ごく一部と思われるが,脳形態画像検査で認知症の有無を判断している医師がみられる.「認知症が心配で,あるクリニックを受診したら,MRI では年齢相応の脳萎縮ですから認知症ではないでしょう」「脳SPECT 検査で前頭葉と側頭葉で異常がみられるから,前頭側頭型認知症が疑われます」などといわれたと訴えて,患者さんが著者の外来を受診してくることがある.前者は典型的なアルツハイマー型認知症,後者は認知症の疑いすらない健常者であった.認知症の有無は,病歴と問診・診察をもとに判断すべきであって,脳形態画像検査のみで診断してはならない.レビー小体型認知症の診断も同様であり,基本は患者さんが示す臨床像から判断すべきである.レビー小体型認知症に特徴的なCT/MRI 所見はあるのか? 教科書的には,レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に比して,側頭葉内側部,海馬の萎縮が軽度とされるが,実臨床ではその特徴から両者の鑑別はできない.「レビー小体型認知症を診断できるCT/MRI の特徴はない」と考えて診療を進めるほうがより実利的である.CT/MRI を施行する臨床的な意義は,頭蓋内の器質的疾患,たとえば脳腫瘍や慢性硬膜下血腫,脳梗塞などを除外することである.MRI/MRA は,さらに無症候性の微小出血や頭蓋内血管病変の検索などに役立つ.脳形態画像検査はいつ施行したらよいか? 日常臨床の視点では,頭蓋内器質的疾患を除外する目的はCT だけで遂げらCT/MRIでレビー小体型認知症をQ13 診断できるのか?