ブックタイトルかかりつけ医・非専門医のためのレビー小体型認知症診療
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かかりつけ医・非専門医のためのレビー小体型認知症診療
40A 標的症状を認知機能障害あるいは行動障害・精神症状,パーキンソン症状に分け,それぞれに適した薬剤を選択する.抗認知症薬としてはアリセプトR のみが保険適用を取得しているので,第一選択薬となる.抗精神病薬としてはクエチアピン(セロクエルR)が推奨されている. 実臨床の現場でレビー小体型認知症に遭遇したとき,かかりつけ医・非専門医の先生方が薬物療法を進める際の実践的な考え方(表17 -1)を解説する.ここで述べる内容は,著者が長年行ってきたもの忘れ外来での経験から導き出した考えである.EBM に基づいたものでなく,一臨床家の考えであるから,納得される部分を援用していただければと思う.薬物療法をどう考えていけばよいか? レビー小体型認知症と診断後,薬物療法を開始する際に,どの薬剤を選択するかを考える.レビー小体型認知症で薬物療法の対象となる主な症状は,① 認知機能障害,② 家族や周囲が困る行動障害・精神症状,③パーキンソン症状の3 つである.薬物療法を開始する際,まず標的とする症状はどれかを決定することが重要である.認知症診療では,認知機能障害の進展抑制が第一義であろうレビー小体型認知症の薬物療法をQ17 どう進めるか?表17 -1 レビー小体型認知症に対する薬物療法施行の具体策1 ) 認知症症状の進行抑制効果のためにはアリセプトRの処方が原則(保険適用を取得している)2 ) アリセプトRが使用できないときにリバスチグミンを試みる( 保険適用外である)3 ) 幻視の軽減を期待できるのはアリセプトRである4 ) 行動障害・精神症状に対して使用する抗精神病薬としてはクエチアピンが勧められる(糖尿病患者さんには禁忌)5 ) 行動障害・精神症状に対して抑肝散を使用する際には,まず2 .5 g 1日1回の使用から開始する6 ) パーキンソン症状にはレボドパ製剤が第一選択薬.その他の薬剤の使用は望ましくない