ブックタイトルかかりつけ医・非専門医のためのレビー小体型認知症診療
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かかりつけ医・非専門医のためのレビー小体型認知症診療
62 レビー小体型認知症で出現するパーキンソン症状の薬物療法として,「① 抗認知症薬は効果を示すのか」「② 抗パーキンソン病薬のなかで,どの薬剤を選択し,処方手順をどう進めたらよいか」が,かかりつけ医・非専門医の先生方の疑問であろう.抗認知症薬は効果を示すのか? アリセプトR が臨床で使用可能になった当初は,レビー小体型認知症に伴うパーキンソン症状に対して,症状の悪化を招くとの意見が一部でみられたが,現在はガランタミンを除く3 剤のランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験から,抗認知症薬はパーキンソン症状の改善を期待することはできないが,悪化させる可能性も低いことが共通して認められている考えのようである.抗パーキンソン病薬の選択と処方の手順 基本的には,レボドパ製剤が第一選択薬である(Mckeith らの臨床診断基準1)でも推奨されている).薬剤過敏性を考慮し,初期用量として,1 日150 mg 分3から開始するのがよい.2 ~ 3 週間を経て,不都合な状態がなければ300 mg 分3に増量する.実臨床で最も問題になる副作用は消化器系副作用である.すなわち,吐き気や嘔吐,食欲不振,胃部不快感などが,服薬開始時にみられることがある.神経内科領域では,(認知症を伴わない)パーキンソン病治療で,消化器系副作用の軽減を目的に制吐薬(ドンペリドン:ナウゼリンR など)を食前に併用することがしばしばあるが,レビー小体型認知症では薬剤過敏性が出現すA レビー小体型認知症でみられるパーキンソン症状を標的とする薬物療法に関して,確立した考えはない.現時点では,個々の事例ごとに,病態を勘案しながら薬剤を選択し,用量を設定していくしかない.パーキンソン症状に対するQ24 薬物療法について知りたい