ブックタイトルかかりつけ医・非専門医のためのレビー小体型認知症診療

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概要

かかりつけ医・非専門医のためのレビー小体型認知症診療

86病歴と診察 80 歳頃からもの忘れが目立ち始め,事実誤認の話が多くなってきた.現在,家族が困っていることは火の不始末と,娘を自分の妹と誤認する,窓の外を誰かが通りすぎるなどといい張ることである.動作は緩慢であるが,腰痛や膝痛のためと家族は思っている.買い物や料理を1人でできず,季節にあった衣服の選択も困難である.易怒性が目立ち,何かのきっかけで怒り出すが,すぐに怒ったことを忘れてしまう.症状に動揺性はみられない.診察では,腰が曲がった状態で杖歩行であるが,四肢に明らかな筋強剛を認めない.HDS-R は18 点(20 /21点が認知症/非認知症の境界)であった.診断を考える もの忘れと幻視,誤認を伴う事例である.症状に動揺性はなく,明らかなパーキンソン症状も認めない.しかし,杖使用を要する歩行障害や腰・膝痛が引き起こしているであろう動作緩慢の原因としてパーキンソン症状も絡んでいると想定すると,パーキンソン症状は存在することになるが,かかりつけ医・非専門医の先生方にとっては,その判断は難しいであろう.臨床診断をどう考えるかであるが,アルツハイマー型認知症か,レビー小体型認知症かを鑑別することになる.レビー小体型認知症としては,認知機能障害に明らかな変動を認めない,パーキンソン症状がない(正確には有無を判断しづらい)点が診断を下すことに躊躇するところである.幻視や誤認はレビー小体型認知症に比較的よくみられる症状であるが,アルツハイマー型認知症で出現してもおかしくはない.今後どうするか? アルツハイマー型認知症なのか,レビー小体型認知症なのか,病型診断が難事例 4幻視,誤認はみられるがパーキンソン症状を認めないレビー小体型認知症の83 歳,女性