ブックタイトル危険なサインの謎を解く
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危険なサインの謎を解く
2 重要事項の概説危険なサイン急変や全身状態の悪化を予想させる手がかり(サイン)のこと.危険なサインは,本質的だが漠然とした「全体イメージ」と,付随的だが客観的な「症候サイン」から成る.症候サインは全体イメージから「にじみ出る」ものであり,両者は「渾然一体」となっている.急 変患者の容態が急激に変化し,生命の危険が切迫すること.全身状態ホメオスタシス(恒常性)の安定度のこと.ホメオスタシスが不安定化するプロセスが全身状態の悪化であり,ホメオスタシスの破綻が急変である.予 兆近い未来に起こりそうな生命の危険を示唆する,あまり明確でない危険なサインのこと.直 感無意識下の迅速な推論のこと.しばしば医療者は直感によって危険なサインを捉える.サバイバルシステム生命を脅かす事態に対して,生存の可能性を高める行動,言動,生体反応(サバイバルプログラム)を自動的につくりだす有機的システムのこと.サバイバルシステムは生来人間に備わっている.全体イメージ生命の危険に対してサバイバルシステムが強く活性化すると,「日常的」だった患者の雰囲気が「非日常的」に変化する.この「非日常的な雰囲気」が危険な全体イメージとして直感的に察知される.言葉で表現しにくいが,これが危険なサインの本質である.症候サインサバイバルシステムが活性化していること(=生命の危険)を示す客観的サインのこと.直感として捉えられた漠然とした全体イメージを,本当に「危険である」と証拠づける.