ブックタイトル高齢者のポリファーマシー

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概要

高齢者のポリファーマシー

138第3 章 個々の疾患に対する処方整理の考え方し,頻脈などの心血管系の副作用の可能性があるため,心電図などによる不整脈の評価や抗不整脈薬の有無の確認が必要である. 男性の場合はBPH がOAB の要因となっている場合も多い.前立腺や排尿状況を十分評価し手術療法を選択することで排尿症状の改善,薬剤の減量や離脱が期待できる.現在BPH に対する外科的治療は内視鏡下に行われ,レーザー治療の普及により,より低侵襲に施行が可能となっている.われわれは経尿道的レーザー前立腺核出術(HoLEP)により膀胱血流が増加し,蓄尿症状が改善することを報告している16).従来の手術法より入院期間の短縮や輸血率の低下が示されている17, 18).近年導入されたグリーンライトレーザーによる蒸散術では抗凝固薬を服用したままでの手術も可能と報告されており19),高齢者でも比較的安全に治療を行うことが可能となっている. 前立腺肥大症に対して上記の処方がされていたが,排尿症状の改善は乏しかった.ウロダイナミックスタディによる膀胱および尿流量検査では下部尿路閉塞の所見が明らかであったため,手術による症状の改善が見込まれた.排尿障害に対する外科治療症 例 前立腺肥大症および過活動膀胱の 75 歳,男性    夜間頻尿3 回,尿意切迫感あり,過去に他のムスカリン受容体拮抗薬で尿閉の既往あり.検査値として前立腺体積74 g,残尿量80 mL.糖尿病でインスリン自己注射,脂質異常症の合併症あり.    シロドシン8 mg/日(朝夕),デュタステリド0.5 mg/日(朝),イミダフェナシン0.2 mg/日(朝夕),牛車腎気丸7.5 g/日(毎食前)      前立腺肥大症に対して経尿道的レーザー前立腺核出術施行.手術後尿意切迫感があり,便秘や口内乾燥も認めたためミラベグロンを開始した.4 ヵ月間ミラベグロン50 mg/日で内服したところ,尿意切迫感は消失し,夜間排尿回数も1 回と減少している.その後ミラベグロンも中止したが,排尿症状の増悪なし.受診時処方例治療の経過