ブックタイトル高齢者のポリファーマシー

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概要

高齢者のポリファーマシー

7 前立腺肥大症・過活動膀胱139 このため,前立腺肥大症に対して経尿道的レーザー前立腺核出術施行,手術では前立腺の腺腫を約60 g 核出した.術後は4 日目に退院した.退院後尿意切迫感があり,便秘や口内乾燥も認めたためムスカリン受容体拮抗薬の使用は難しいと考え,ミラベグロンを開始した.ミラベグロン50 mg/日を4 ヵ月間内服したところ尿意切迫感は消失し,夜間排尿回数も1 回と減少している.その後ミラベグロンも中止したが,排尿症状の増悪なく経過している. 以上,排尿障害の薬物治療について,特に高齢者に対する使用方法を,症例を提示し解説した.排尿障害は高齢者に多い疾患であり,副作用や他疾患との関連など,十分留意して使用することが望ましい.特に男性の排尿障害ではα1遮断薬が基本薬剤となること,過活動膀胱ではムスカリン受容体拮抗薬がキードラッグであるが,多剤との相互作用,副作用への注意が必要であることを説明した.難治例に対しては専門医の評価が必要と考えられる.文 献1) 内閣府:平成25 年版版高齢社会白書,2013.Available at:〈http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w?2013/zenbun/25pdf_index.html〉2) Tsukamoto T, et al:Prevalence of prostatism in Japanese men in a community?based studywith comparison to a similar American study. J Urol, 154:391?395, 1995.3) 本間之夫:排尿に関する疫学的研究.日排尿機能会誌,14:266?277,2003.4) Homma Y, et al:Voiding and incontinence frequencies:variability of diary data and required● 排尿障害の状況は問診票を使用し,評価を行う.● 前立腺肥大症ではα1遮断薬が第一選択薬である.● 過活動膀胱に対してムスカリン受容体拮抗薬が使用されるが,有害事象の発言に注意が必要である.特にオキシブチニンは中枢神経系への影響が示唆されており注意が必要である.● ミラベグロンはムスカリン受容体拮抗薬の代替薬として使用が期待される.● 前立腺肥大症では手術療法で排尿症状が治癒もしくは減薬が可能な場合もあり,専門医へのコンサルテーションが有効である.!ここがポイント