ブックタイトル在宅医療をはじめよう 非がん患者の自宅での看取り
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在宅医療をはじめよう 非がん患者の自宅での看取り
167制度の知識編第 話 退院支援と在宅医療の制度について12退院支援の重要なポイントは?2つあると思うわ 退院支援をテーマとする研修会などで「患者さんは,病院にいたほうが安心だから,家に帰りたいなんて思ってないんですよ」という意見を医療従事者からよくうかがいます.しかし私は,患者さんは単に「不安が多すぎて,家に帰るなんて考えられない状況」にあるだけだと考えています. 自宅で,自分がどのような医療やケアを受けながらすごすのかが具体的にイメージできれば,「家に帰りたい!」と考えるようになるのだと思います. 退院時に予想される不安を解決し,最期までよりよく,自分らしく生きたいという患者さん本人の思いがあれば,どんな体の状態であっても家に帰ることができます. 退院支援の重要なポイントは,患者さんの思いを支えることと,在宅療養をマネジメントする能力です.また診療報酬がないとわかっても,必要なケアや支援を行う心構えも必要です.それらを兼ね備えれば,患者さんを幸せな退院,在宅療養へと導くことができると私は考えています.まとめ 現在の日本では,約80%の人が病院で亡くなります.病院の関係者とお話をすると,「多くの患者さんは家に帰ることを望んでいないと思うよ」という意見をよく聞きます.本当に患者さんの多くは病院で亡くなることを望んでいるのでしょうか? 先日,一般の方を対象にした講演会で「皆さんはいつか亡くなるとき,どこで最期を迎えたいと思いますか?」と問うと,「自宅」に手をあげた人は40%くらいでした.私は質問を続けました.「では,家ですごすのに十分なお金があって,介護する人がいたとしたらどうですか? お金と介護が十分だったら家で過ごしたいと思う人は手をあげてください!」 すると,ほとんどの人が手をあげたのです. 本当は,かなりの割合の人が自宅での最期を望んでいるわけです.限られた命に向き合い,家に帰っても適切で手厚いケアを受けられることがわかれば,家に帰りたいと思えるのではないでしょうか.病院の関係者の方や患者さん,ご家族は,まだまだ在宅でどのような医療やケアが受