ブックタイトルTHE 整形内科
- ページ
- 10/14
このページは THE 整形内科 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは THE 整形内科 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
THE 整形内科
250Ⅱ ? よくある運動器疾患,疾患ごとの診断と治療THEリハ 膝疾患に対する保存療法については,Ⅰ- 15(p.134)で詳細に触れているので参考にされたい.膝疾患に対する保存療法を行う際には,「疼痛部位(圧痛点)を解剖学的に明確にすること」「疼痛の原因がoveruse(使い過ぎ)か,disuse(廃用性)か,maluse(誤使用)によるものかに分類したうえで治療プログラムを組み立てること」がポイントとなる.触診では該当組織の機能解剖学との関連を意識しつつ,運動療法を検討することが大切である. 膝蓋下脂肪体が原因の膝前部痛(anterior knee pain:AKP)は,膝蓋下脂肪体への局所治療(徒手,鍼,注射など)に加えて,セルフケアの方法として膝蓋腱の両側から膝蓋下脂肪体を指でつまんでマッサージをするようアドバイスすることが多い.また,エコーで深膝蓋下滑液包(膝蓋腱の付着部と膝蓋下脂肪体との境目)の癒着を観察し,癒着が確認できれば積極的に局所治療による剥離操作を実施する. 変形性膝関節症では,グレード3以下の症例に運動療法の適応がある.膝関節屈曲拘縮の改善に伴うligamentous stability(靱帯による安定化)と広筋群注3を狙った筋力訓練がきわめて重要となる.変形性膝関節症患者に意外に多いのが鵞足部の疼痛であり,とくに薄筋腱に対するストレッチと,局所治療による鵞足包周辺と腱との癒着改善は,疼痛の緩和に非常に有用である.関節に負担のかからない生活,入浴後の膝伸展運動の継続や,膝蓋骨周囲の軟部組織の柔軟性改善を目的とするマッサージなどを,セルフケアとしてアドバイスすることがポイントである.(銭田良博・林 典雄)注3 広筋群:大腿前面にある内側広筋,中間広筋,外側広筋の総称.いずれも大腿骨起始で膝関節運動のみに関与する一関節筋であるのに対し,腸骨起始の大腿直筋は股関節と膝関節の運動に関与する二関節筋である.広筋群と大腿直筋を総称して大腿四頭筋と呼ぶこともある.膝前面部痛(AKP) 膝前方に生じた痛みの総称で,膝蓋骨,膝蓋腱,膝蓋下脂肪体など,さまざまな部位が痛みの原因になります.なお,詳細は2014年の『臨床整形外科』に連載された皆川洋至の「オーバーユースに伴う膝前方の痛み“anterior knee pain”─(1):骨の過労性障害」(49 巻5 号,p.433 -442),「オーバーユースに伴う膝前方の痛みColumnby 編者