ブックタイトルTHE 整形内科
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THE 整形内科
26 骨盤周囲の痛み253認めることが多い(図26-2). 仙腸関節に対するストレステストとしては,Gaenslen(ゲンスレン)テスト注1やPatrick(パトリック)テスト注2を行う.これらを実施する際には,必ず骨盤非固定時の疼痛と固定時の疼痛とを比較することが大切である(図26-3).仙腸関節障害の患者では,骨盤非固定時には疼痛が誘発されるものの,骨盤固定下だと消失もしくは著明に減弱する.仙腸関節障害の見極めにはこの所見がきわめて重要であり,このような症例には,仙腸関節ブロック(仙腸関節後方靱帯領域および仙腸関節内),運動療法(他動運動による各種靱帯周囲の癒着改善),骨盤ベルトが有効である.一方,骨盤の固定,非固定にかかわらず疼痛が誘発される場合には,股関節を構成する組織に由来した病態を頭に浮かべる.編者からの補足 なお,仙腸関節は,「前方の関節区域と後方の靱帯区域」で構成される2).その疼痛発生源は,後方の靱帯区画(図26-4)3)とされており,その部位への対応に関しても,注射によって十分な治療効果が得られる傾向にある.そのため,医師には以下の注射をお勧めしたい.①仙骨ぎわの圧痛点に局所注射初学者②仙腸関節後方靱帯群に注射(仙骨と腸骨の間に針先を進める) 中級者③仙腸関節内ブロックも併用(実際は透視下でないと難しい) 上級者注1 Gaenslen テスト:仙腸関節由来の痛みに対する疼痛誘発テスト.健側は膝を抱え込ませて骨盤を固定し,患側の股関節を進展させ,仙腸関節部に疼痛が生じれば陽性と判断する.注2 Patricテスト:股関節と仙腸関節由来の痛みに対する疼痛誘発テスト.股関節を屈曲(flexion),外転(abduction),外旋(external rotation)して疼痛が生じれば陽性となる.検査側の股関節前方に疼痛が出現したら股関節由来の痛み,反対側の後方仙腸関節付近なら仙腸関節の痛みと判断する.発案者のHugh Talbot Patrick(アメリカ,1860 ?1939 年)の名前に由来する徒手検査であるが,手技の頭文字(flexion,abduction,external rotation)をとってFaber(フェーバー)テストと呼ぶこともある.図26-2 ? 関節裂隙を基準とした仙腸関節の圧痛点上後腸骨棘関節裂隙外側の圧痛は靱帯性疼痛を反映している場合が多い関節裂隙内側の圧痛は筋性疼痛を反映している場合が多い