ブックタイトルTHE 整形内科
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THE 整形内科
617 私もやってみた整形内科ビギナーの扱う運動器エコーB 運動器エコーことはじめ 運動器は内臓の外側に位置する器官である.これまで心臓や腹部臓器で重宝したエコーが,運動器を構成する組織,すなわち軟部組織,骨,関節などを観察するのに有用となる.軟部組織,手足の骨・関節には高周波のリニアプローブ,肩関節(後方から)や股関節などの深い部分にはコンベックスプローブが適している.i 走査法 走査法すなわちエコー端子(プローブ)の動かし方には,平行走査,扇動走査,回転走査の3つがある(図7-1). 運動器エコーで病変を探すには,プローブを痛いところに当て,正常と異なる像,たとえば骨折や変形などが“あるかないか”を平行走査(図7-1 a )でみる.プローブは皮膚表面に垂直に立つように当て,角度は変えずに場所をスライドして流し見る.皮膚表面に垂直に当てないと,異方性のためにうまくビームが入らず,綺麗な画像が得られない.最初に骨の突起といったメルクマールとなるものを探すと靱帯,腱も同定しやすい.健側と見比べるのも大切である.また,病変をみつけようと力が入って強く圧迫しすぎないように注意する.圧迫が強いと,静脈は潰れるし,患者も痛みを感じるかもしれない.逆に圧迫が弱すぎたりゼリーが足りなかったりすると,プローブの接着が悪くなり,うまく描出できない. 初期観察時に重要となるポイントは,平行操作が基本であり,扇動走査(図7-1 b )や回転走査(図7-1 c )をしないことである.扇動操作とはプローブを当てる皮膚表面に対する角度を扇状に変えて観察することで,回転走査はプローブ中央を保持しつつ,皮膚表面に垂直な軸を保って時計回りか反時計回りに回転しながら観察することである.いずれも腹部や心臓エコーで多用するが,病変の有無を確認する目的には適さない.ただし,穿刺時に針先を探す際には,扇動・回転走査も駆使する必要がある.図7-1 ? エコープローブ操作a 平行走査 b 扇動走査 c 回転走査