ブックタイトルTHE 整形内科
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THE 整形内科
18120 肩こり症の診断と治療B 筋性肩こり症 神経学的異常所見のない筋性肩こり症の直接的な原因は主に頚部筋群にある.その病態は,過負荷やoveruseなどによる各骨格(頭蓋骨,頚椎,肋骨,肩甲骨,鎖骨)をつなぐ筋などの軟部組織の異常(筋膜性疼痛症候群(myofascial pain syndrome:MPS)など)1)や,各部位に生じた異常血管が関係すると考えられている2,3).両者の関係は不明だが,治療方法や治療点が高頻度に重複しており,密接な関係性があると考察している.また,逆流性食道炎などの内臓疾患から内臓体性反射により骨格筋の筋緊張が増悪している肩こり症もあり,胃薬で肩こりが軽快する場合もある.症例2 32歳,女性現病歴: 肩こり症に悩む事務職で近眼が強い.パソコン仕事の量に比例して肩こり感を自覚.医療機関での肩への局所注射は数日間効果がある程度診 断:日常姿勢や動作の影響が強そうな筋性肩こり症介 入: 生理食塩水によるエコーガイド下筋膜リリース注射(僧帽筋と肩甲挙筋の間,図20-1)で1週間効果が持続するようになったが,症状が反復するため姿勢指導も追加.「① 職場のパソコンモニタが右側にあり,頚部がいつも右回旋状態→モニターを正面に移動」「②キーボードを打つときに手首や肘を机につけていない→姿勢指導」「③電話を頚部と肩に挟みながらの作業→イヤホンで会話」「④ 眼鏡の鼻パットが下にずれやすい→ずれ防止の鼻パット」というように介入し,症状が安定するようになった自律神経反射 自律神経反射は以下の3つに分けられます.①内臓内臓反射 求心路と遠心路がともに自律神経で構成される反射機構であり,たとえば頚動脈洞反射(圧受容体による心機能へのフィードバック)などがあげられます.②体性内臓反射 求心路が体性感覚神経,遠心路が自律神経で構成される反射機構です.たとえば,身体への侵害刺激(皮膚への痛み刺激など)による交感神経系の機能亢進(発汗,心拍数増加,痛み閾値の低下など)があります.また,鍼や物理治療のメカニズムの1つとされています.Columnby 編者