ブックタイトルTHE 整形内科

概要

THE 整形内科

21523　手　指i 手根管症候群1?3）a．症　状　正中神経支配領域である母指から環指橈側（母指側）のしびれや感覚障害があり，特徴的なのは夜間就寝時や早朝に出現する疼痛で，痛みによって覚醒させられることもあり，「起きたら手を振りたくなる」と表現されることが多い．進行すると母指球筋の萎縮がみられ，日常生活では箸の使用，小さいものをつまむ，ボタンかけなどの細かい動作が難しくなる．b．病　態　手根管内には正中神経と9本の屈筋腱が走行している．手根管内圧が上昇すると正中神経が圧迫され，神経障害性の症状（しびれ感，筋力低下など）を生じる（図23-2）3）．中高年女性に多く，原因としてはoveruseや妊娠，閉経などの特発性が多く，その他，関節リウマチ（rheumatoid arthritis：RA）による屈筋腱滑膜炎や透析，ガングリオン，骨折などがある．c．診　断　手根管近位でのTinel（ティネル）様徴候（陽性：叩くと末梢にしびれや痛みが放散する），Phalen（ファレン）テスト（陽性：手関節屈曲位を保つと1分以内に症状が悪化する），手根図23-2 ? 手根管症候群b 正中神経は腫大し，低エコーを呈している（ ）c 横手根靱帯（ ）で神経が圧迫され（ ），その中枢の腫大（＊：偽神経腫）を認める． （文献3）より一部改変）手根管横手根靱帯正中神経断面像圧迫により扁平になった神経手根管（正中神経と屈筋腱）Guyon管（尺骨神経と尺骨動脈）a 病　態c エコー画像（長軸像）＊b エコー画像（短軸像）