ブックタイトルポリファーマシー見直しのための医師・薬剤師連携ガイド

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概要

ポリファーマシー見直しのための医師・薬剤師連携ガイド

8■ 入院患者におけるポリファーマシーに対する医薬連携ポリファーマシー患者が入院した際は,薬物有害事象が病状に影響している可能性も念頭に置いて,薬剤の見直しを行うことが求められる.医薬連携によるアプローチとしては,医師・薬剤師を含む多職種からなるポリファーマシー対策チームにより介入する方法と,個別に病棟で医師と薬剤師が相談して方針を決定する方法などがあげられる.すべての患者に介入するのが理想的であるが,スクリーニングにより対象者を抽出するのもよい.スクリーニング方法は,薬剤数(6 種類以上など),薬物有害事象やノンアドヒアランスの危険因子などを用い,施設ごとに決めておく.医薬連携の手順を図2-1と図2-2にまとめた.図2-1は医師のアクションであり,入院時に病状や使用薬剤のみならず,高齢者総合機能評価(CGA)などの手法を用いて身体機能や認知機能,気分・意欲,家庭環境,社会背景の評価を行う.薬剤師からの処方提案がある場合や薬物有害事象が疑われる場合には,可能な限り薬剤師と協議して対応を決定する.その後,病状変化を確認しつつ退院まで繰り返し評価を行っていく.これらの介入により薬の減量・中止,継続,あるいは増量などさまざまな状況が考えられるが,変更の有無にかかわらず入院期間を通して定期的に薬効や有害事象の評価は必要であり,そのつど薬剤師との協議を重ねていける関係構築が鍵となる.入院編例)ポリファーマシーに関連した問題点の存在ポリファーマシーに関連した薬剤師からの処方提案ありありあり必要あり必要なしなし退院:薬剤調整の概要を診療情報提供書などを通じ,かかりつけ医と連携薬剤師および多職種と薬の変更,代替薬の使用などについて協議CGA*1などで総合的に評価*1高齢者総合機能評価ポリファーマシー患者の入院・薬物有害事象の存在・服薬アドヒアランス不良・服薬困難・「特に慎重な投与を要する薬剤」の使用など・同効薬の重複処方・腎機能低下・低栄養・薬物相互作用の可能性・処方意図が不明な薬剤の存在ポリファーマシーに関連した薬剤師からの処方提案があれば,その内容も考慮なし薬物療法の適正化病状など(薬物有害事象,QOL含め)につき経過観察薬物治療の問題点の出現なし必要に応じて再検討図2-1 病院医師によるポリファーマシー患者へのアクション