ブックタイトルポリファーマシー見直しのための医師・薬剤師連携ガイド

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概要

ポリファーマシー見直しのための医師・薬剤師連携ガイド

23Q 2-2Q2-2 意図不明の継続処方に対して薬剤師のどのような対応・連携が推奨されるか? Summary ● まず患者情報を収集し,「現在の患者の状態に対応した処方になっているか?」を確認する.● 減薬された場合は,医師と薬剤師が連携して,患者の心情へ配慮し丁寧な説明とフォローアップを行う.● 処方医が複数存在する場合,薬剤師は医師相互の関係を考慮し,当該医師による処方変更の内容を他の医師へ情報提供する.関連する症例:2(p.111),8(p.135),19(p.175),21(p.184)解説保険薬局薬剤師は,処方意図が明確でないまま長期間継続処方されている薬剤について,「現在の患者の状態に照らして,本当に必要なのか?」と疑問を抱くことがある.また,複数の適応を有する薬剤について,服薬指導時に患者から「なぜこの薬が出ているのですか?」と尋ねられ,対応に窮する場面もある.病院の泌尿器科を受診する外来患者200人を対象とした調査では,76%の患者が,自分の病名・病状を保険薬局薬剤師もわかっていると思い込んでおり,81%が,服薬の安全性確保などのために保険薬局薬剤師にも自分の病名・病状を把握していてほしいと望んでいると報告している 1).そこで,当該病院が,患者の病名・病状・処方意図などを記載した「診断情報伝達ツール」を作成し運用した結果,保険薬局では,患者にとって望ましい薬効と副作用のバランスを理解してもらえるような服薬指導が可能になった 1).これらの知見から処方医と保険薬局薬剤師がコミュニケーションをとり,患者の病態や処方意図,副作用に対する認識を共有し,定期的に処方を見直す仕組みが必要であることがわかる.処方の見直しにあたっては,MAI(medication appropriateness index) 2)の活用や,deprescribingprotocol 3)の実践が推奨されている.MAIは10 項目から構成され,項目1 は「薬の適応はありますか?」 4)であり,deprescribing protocolの5ステップの最初は「患者が現在使用しているすべての薬剤について,その処方理由を再確認する」 5)である.つまり,いずれもまず「現在の患者の状態に対応した処方になっているか?」を確認することによって,意図不明な薬剤を極力排除することを目指している.ただし,処方医の判断によって減薬に至った際には,医師と薬剤師が連携して,患者の心情(長年服用していた薬を削除される不安など)へ配慮し,丁寧な説明と減薬後のフォローアップが不可欠である.また,複数の処方医が存在する場合,薬剤師は医師相互の関係を考慮しながら,当該医師による処方変更の内容を他の医師へ情報提供しておくことが肝要である.