ブックタイトル診療ガイドラインが教えてくれないこともある

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概要

診療ガイドラインが教えてくれないこともある

11 COPD91アンチトリプシン欠損症が最重要因子としているが,日本人では非常にまれであるとも述べている.合併症 COPDガイドラインに示されている主な肺の合併症を表11 -1にまとめた.さらに,COPDは長期の喫煙歴のある中高年者に発症することから,喫煙や加齢に伴う依存症が多く認められるため,心血管疾患や骨粗鬆症,抑うつ,糖尿病,睡眠障害,骨格筋機能障害,栄養障害など,全身的・包括的な評価が推奨されている.診 断 診断基準,病気分類:「気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーで1秒率が70%未満」で,「他の閉塞性障害をきたし得る疾患を除外」すればCOPDと診断するとされている.一方,COPDの病期分類には,予測1秒量に対する比率(対標準1秒量:%FEV1)を用いる.病期分類は気流閉塞の程度による分類であり,疾患の重症度は症状や日常生活の状況,併存症の状態などから総合的に判断すべきとしている. 臨床所見,検査:主な自覚症状には,息切れ,慢性の咳と痰をあげている.問診・検査の際には,リスク因子である喫煙歴や受動喫煙,職業上の粉塵・化学物質または家庭での調理や暖房の燃料による煙の吸入歴も聴取すること,COPDの早期では自覚症状や身体所見が出現しない患者が多いため注意すること,気流閉塞の検出のため呼吸機能検査を実施すること(気管支拡張薬吸入後の測定値を用いて評価)を推奨している.治 療 治療目標:管理目標は「症状およびQOLの改善,運動耐容能と身体活動性の向上および維持,増悪の予防,疾患の進行抑制,全身併存症と肺合併症の予防と治療,生命予後の改善」とされている.また,喫煙患者に対しては,全例に禁煙指導を行う. 安定期の管理:閉塞性障害の程度に加え,症状や増悪の頻度を加味して重症度を判断し,治療法を段階的に選択する.基本的介入としてすべての患者に禁煙,インフルエンザワクチン接種,全身併存症の診断と管理を行い,さらに患者の重症度に応じて呼吸リハビリテーション,短時間作用性気管支拡張薬,長時間作用性抗コリン薬(LAMA)または長時間作用性抗β2刺激薬(LABA),吸入ステロイド薬,在宅酸素療法,換気補助療法,外科療法を追加し喘 息肺がん気腫合併肺線維症COPD との鑑別が困難な合併例はオーバーラップ症候群と称され,QOL が悪く,増悪が高頻度喫煙との関連で,COPD患者では高頻度に合併線維化により気流閉塞がマスクされ,COPD の診断が遅れることがある表11-1 COPDの主な肺合併症