ブックタイトル診療ガイドラインが教えてくれないこともある
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診療ガイドラインが教えてくれないこともある
11 COPD93められている. 専門科への紹介:スパイロメトリーがないなど診断に至らない場合,増悪時,治療反応が悪いとき,併存症治療で連携が必要なとき,終末期在宅ケアを行うときなどには,専門医へ紹介する.診 療 ガ イド ラ イ ン の 肝のキモすべての患者に対して喫煙歴を聴取するCOPDを疑う患者にはスパイロメトリーを実施する治療の最重要ポイントは禁煙 喫煙者のすくい上げ:すべての患者に喫煙歴を聴取すること,そして喫煙歴のある患者で呼吸器症状を確認し,COPDを疑うことが必須である.オランダでの研究では,診療所の医師を受診した患者から喫煙者を6人スクリーニングすると1人の新たなCOPD患者を発見し,慢性咳嗽患者を4人検査すると1人の新たな患者がみつかるという結果が得られており5),喫煙者をすくい上げることの重要性が示唆されている. スパイロメトリー:COPDを疑った患者について,診断するためにはスパイロメトリーでの評価が求められる.COPDガイドラインでは,スパイロメータがない診療所では,診断的治療を開始して,その反応によりCOPDを診断するのも診断方法の1つとされている.しかし,COPDを診療する医療機関であれば,規模の大小を問わず,スパイロメトリー検査を実施できる環境を構築すべきである.スパイロメトリー1回の診療報酬は通常190点と,決して高いものではないが,スパイロメータは小型になり,価格も数万円から販売されている.また,1回10分程度スタッフがつき添って実施しなければならない手間のかかる検査ではあるものの,COPDの診断だけでなく重症度の評価にも有用な重要度の高い検査であるため,スパイロメータのない医療機関には導入を勧めたい.スパイロメトリー実施時には,気管支拡張薬吸入後に実施した数値で判断するよう注意する.また,他疾患を除外する検査として,息切れから貧血を考えた際には血液検査を,咳や痰から肺がんや肺線維症を考慮した際には胸部X線写真を最低限実施すべきと考える. 禁煙指導:安定期COPDの管理では,禁煙指導が最重要となる.禁煙はCOPDの進行を抑制するうえで,最も効率的で経済的な方法である.行動変容理論や5Aアプローチ(ask:尋ねる,advise:助言する,assess:評価する,assist:援助する,arrange:手配する)を用いて禁煙を支援し,必要に応じて禁煙補助薬を使った禁煙治療へ繋げる.禁煙以外には,インフルエンザワクチン接種,身体活動性の維持向上をすべての患者に勧める. 薬物治療:現在のところ,死亡率を低下させる根拠のある薬剤は存在せず,薬物治療は症状抑制や合併症の減少が目的となる.自覚症状の出現状況にあわせて処方を検討し,労作時