ブックタイトル多職種で取り組む食支援

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概要

多職種で取り組む食支援

3Ⅰ.すべての医療職が知っておくべき基礎知識QOLを最大限高める「リハからみた栄養管理」や「栄養からみたリハ」である1).スポーツ栄養のリハ版ともいえる.誤嚥性肺炎,脳卒中,パーキンソン病,褥瘡,廃用症候群,大腿骨近位部骨折,がん,慢性心不全,慢性閉塞性肺疾患といったリハの主な対象疾患では,低栄養を認めることが多い.低栄養やサルコペニアを認める回復期リハ病棟の入院高齢患者では,リハ栄養介入によって筋肉量と機能予後をより改善できる2). 質の高いリハ栄養の実践には,リハ栄養ケアプロセスが有用である.リハ栄養アセスメント・診断推論,リハ栄養診断,リハ栄養ゴール設定,リハ栄養介入,リハ栄養モニタリングの5段階で構成される(図Ⅰ-1-2)1).リハ栄養診断では,栄養障害,サルコペニア,栄養素摂取の過不足を判断する.リハ栄養ゴール設定では,仮説思考でリハや栄養管理のSMART(specific:具体的,measurable:測定可能,achievable:達成可能,relevant:切実・重要,time-bound:期限が明確)なゴールを設定する.今後の栄養状態が悪化すると予測される場合,機能維持を目標とした訓練しか実施してはいけない.“栄養ケアなくしてリハなし”,“栄養はリハのバイタルサイン”である.サルコペニアⅡ サルコペニアは進行性,全身性に認める筋肉量減少と筋力低下であり,身体機能障害やQOL低下,死のリスクを伴う3).現在の定義では,筋肉量減少単独の場合にはサルコペニアと診断しない.超高齢社会の日本では,サルコペニアの高齢者,障害者が増加しており,寝たきり,嚥下障害,呼吸障害の一因となるため,サルコペニアの評価と対応は大切である. Asian working group for sarcopenia(AWGS)のサルコペニアの診断基準は,筋力低下(握力:男性26kg未満,女性18kg未満)もしくは身体機能低下(歩行速度0.8m/秒 未満)を認め,筋肉QOL ICFフレイル栄養評価栄養状態SMART 仮説思考計画・実施栄養からみたリハリハからみた栄養管理悪液質サルコペニア栄養素摂取の過不足リハ栄養ケアプロセス評 価機能・活動・参加リハ栄養アセスメント・診断推論リハ栄養介入 リハ栄養診断リハ栄養ゴール設定リハ栄養モニタリング図Ⅰ-1-2 リハ栄養ケアプロセス (文献1)より)