ブックタイトル在宅医療をはじめよう!医療を変える、地域を変える、文化を変える
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在宅医療をはじめよう!医療を変える、地域を変える、文化を変える
はじめに 私が16年前に在宅医療専門クリニックを立ち上げた頃,まだ在宅医療は普及していませんでした.患者さんのところへ訪問すると「医者が家まで来てくれるの?」とびっくりされたものです.その後,私たちの地域でも在宅医療を行うクリニックや訪問看護ステーション,在宅系のサービス事業所もたくさんでき,患者・家族が選ぶことができるようにまでなりました. 最近では,患者さんのご家族が「家に来て何をしてくれるの?」とサービス内容を聞きにくることもあります.なかには10ヵ所以上の医療機関を回って,いちばんよいところを選ぶのだという方もいらっしゃいました.在宅医療は,ただ患者宅を訪問するだけではなく,質を求められる時代になったのはたしかでしょう. では,在宅医療の質を高めるためには,どうすればよいでしょうか? 私は,理念とシステムと人財が大切だと考えています.在宅医療を行うのは,人財ですから,確かな知識を身につけ,病気だけではなく,しっかりと患者さんの生き方に向き合う人財を育成する必要があります.そして,常に患者本位を貫ける理念をそれぞれのスタッフが身につけ,情報の共有と方針の統一を行い,疲弊しないシステムで多職種のチームが連携して患者さんやご家族に向き合っていく.それこそが質の高い在宅医療を提供することではないかと思います.このシステムで疲弊しない医療を行い,多職種のチームにより行う「寄り添う医療」の実践は,これからの日本の医療の新しい形とさえいえるのではないかと思っています. たとえ治らない病気になっても,障害をもっても,住み慣れた自宅や地域で過ごすことができるように下支えするのが在宅医療です.その土台を活かして,もっと住みやすい地域をつくることができるはずだと私は考えています. 医療を変え,地域を変え,文化を変える. 多死社会のなかで,医療の枠だけにとどまらず,在宅医療という手段を使って,どれくらい私たちの地域や社会に影響を与え,よくしていけるのか……ということに,これからは挑戦していきたいと考えています. 2017年2月永井康徳