ブックタイトル在宅復帰支援

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概要

在宅復帰支援

A 医療ソーシャルワーカー(MSW)と退院支援2002 年に厚生省(現:厚生労働省)から出された「医療ソーシャルワーカー業務指針」の中で医療ソーシャルワーカー(medical social worker:MSW)の業務の1 つとして「退院援助」があげられている.「退院援助」とは,「生活と傷病や障害の状況から退院・退所に伴い生ずる心理的・社会的問題の予防や早期の対応を行うため,社会福祉の専門的知識及び技術に基づき,これらの諸問題を予測し,退院・退所後の選択肢を説明し,相談に応じ,次のような解決,調整に必要な援助を行う」とある.具体的には地域の情報を整備し,関係機関や関係職種等との連携のもと患者の傷病や障害の状況に応じたサービスの利用を援助すること,転院,施設等の選定を援助すること,家族の不安解決への援助をすること,住居の確保や傷病や障害に適した改修等の援助をすることなどである.ここでは急性期病院に勤めている筆者の経験から退院支援について述べたい.なお,本項では「退院援助」を「退院支援」という言葉に替えて使用する.在宅療養を可能にするかどうかは「医療」よりもB 「生活」の問題ADL が低下し,身の回りのことができなくなった患者の在宅医療を可能にするには,その前提に在宅での生活が成り立つことが必要である.食事,排泄など生きるために必要なことが確保されて初めて在宅医療を受ける環境が整う.MSWは在宅医療を受けるための環境を整える支援を行っているので,ここでは在宅医療に加え,在宅介護,在宅福祉を含めて在宅療養という言葉を使いたい.在宅医療連携における病院医療ソーシャルワーカーの役割①― 家に帰ることを目指す急性期病院の医療ソーシャルワーカーの退院支援―682