ブックタイトル在宅医療 臨床入門 改訂2版

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概要

在宅医療 臨床入門 改訂2版

14が,在宅医の活動場所に近いという地理的条件があるときに限られる.千葉県松戸市で私たちは活動しているが,片道1 ?2 時間あるいはそれ以上かかる都内の病院から「退院前カンファレンスに来てもらいたい」という申し出を受けることがある.これは申し出る側に問題がある.病院医師でも,休暇でもないのに,日中に数時間も院外に外出できるほど時間に恵まれた医師はまれであろう.在宅医も同様である.したがって,患者の入院している病院が遠方の場合には,電話や文書などを用いて情報交換するのが現実的である.3 医療に関してネガティブな印象を持っている患者さんに対して「これまでかかった医療機関で傷ついている患者さん」は珍しくない.さまざまなつてを辿って,そのような人でも在宅医療を希望されることがある.第一に,治癒不能の悪性疾患を有する患者さんで,「突然の治療打ち切り」に対するネガティブな感情を持っていることは珍しくない.この対応については緩和ケアの項目で詳述する.また,病院で医師や看護師の対応に不満を持った人,いたし方のない病状の進行であっても「病院で悪くなった」というネガティブな感情を持っている人もいる.第二に,病院には「病院に適応のよい患者さん」しかうまく入院できないという特性がある.例えば,同室者や医療従事者とすぐにけんかをしてしまう人,隠れて飲酒や喫煙をする人,無断外出を繰り返す人などは,入院継続ができず,退院せざるを得なくなることが多い.こういう方々はたいていの場合,病院との複数回のトラブル・葛藤の経験から,病院入院に対してネガティブな感情を持っている.だが,自宅ではそういう生活スタイルを問題なく維持できるため,在宅医療を希望されることが珍しくない.このような方々は,病院医療になじまないという意味でも,重要な在宅医療の対象者である.以上二つの群について述べたが,個人的な感想をいうと,第一の群へ