ブックタイトル在宅で褥瘡に出会ったら 改訂2版

概要

在宅で褥瘡に出会ったら 改訂2版

ワンポイントアドバイス?困った時には?145肉芽が大きくなりすぎた時褥瘡治療の過程で肉芽が生じてきた時，治療者は一安心することが多い．管理の困難な炎症期を切り抜け，上皮形成の前触れである肉芽が生じてきているためである．しかし，この肉芽が，過剰に盛り上がり，上皮形成を阻害することもある．こんな時にどうしたらよいだろう．まずは，肉芽形成を促すトラフェルミン（フィブラストR スプレー）などの薬剤を使用している場合はそれを中止する．肉芽が適切にコントロールされれば，上皮形成促進薬を使用しなくともほとんどの場合は上皮化する．この方法によっても改善しない時は，肉芽に対してステロイド軟膏を塗布する．この方法によって，適当なサイズまで小さくなればステロイド使用を中止する．ほかに，スルファジアジン銀（ゲーベンR クリーム）やポビドンヨード・シュガー（イソジンR シュガー），カデキソマーヨウ素（カデックスR）などの消毒薬を塗布するという方法も考えられるが，実際にはステロイド程の効果が得られないことが多い．この方法によっても肉芽が消退しない時，肉芽を除去することを考えてみてもよい．硝酸銀で焼灼する方法もあるが，焼灼深度がコントロールしにくいので，筆者は用いていない．このため，メスを使って肉芽を一部切除する．麻酔の必要はないが，出血が問題となる可能性がある．切除後，アルギネートドレッシングを使用して止血すれば，ほとんどの場合は問題なく止血する．【鈴木　央】