ブックタイトル在宅で褥瘡に出会ったら 改訂2版
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在宅で褥瘡に出会ったら 改訂2版
1第1 章在宅における褥瘡ケアの特殊性1 病院か自宅か病院で積極的に褥瘡治療をしている医師からは「病院では優れたケアが可能だが,在宅医療では褥瘡ケアが貧困である」というコメントを聞く.一方,在宅医療を積極的に行う医師は「褥瘡は多くは病院でできるもので,それを在宅医療で治す」という意識をもつことが多い.このギャップはどこから来るのだろうか.わが国で看取りや教育を積極的に行う在宅療養支援診療所は100 ?200 か所と推測され,また,積極的な活動を行う訪問看護ステーションは1,000 ?2,000か所と推測されている1).わが国の市町村数が約1,700 であることを考えれば,この数の少なさが理解されよう.つまり,在宅医療を積極的に行う医療機関は少なく,積極的に褥瘡治療を行う病院医師から見れば,周囲の医療機関の在宅褥瘡ケアが不十分に見えるのであろう.逆に,そのような積極的な褥瘡治療を行う病院も少数であろうと想像する.したがって,積極的な在宅医から見れば,「病院での褥瘡治療は不十分なので自宅で治す」意識になるのであろう.2 家族介護が前提であること在宅医療は,基本的に家族介護に依存する医療形態である.その意味で,家族が疲弊するような手法は有害ですらある.家族が疲弊しないような持続可能なケアを構築する必要がある.例えば,「2 時間ごとの体位交換」などの指示が病院で出ていることがあるが,これでは,家族は生存不能である.それよりは,自動体位交換機能を有する体圧分散マットレスを使用して,「人手による体位交換は夜間は行わない」ケアに合理性がある.