ブックタイトル在宅で褥瘡に出会ったら 改訂2版

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概要

在宅で褥瘡に出会ったら 改訂2版

2第1 章 在宅における褥瘡ケアの特殊性家族の「生活スタイル」や「几帳面さ」はまちまちである.「医師や看護師がベストと考えるケア」をすぐに行える家族は比較的少数と考えたほうが無難であろう.ケアの習得にかかる時間もまちまちである.ゆっくりとケアの技量が進歩する家族も珍しくない.うまずたゆまず支援しつつケアを構築したい.また,家庭で入手できるものを利用する視点も重要である.現在,食用ラップやビニール(ポリエチレンフィルム)などを用いた在宅褥瘡ケアが広く行われているが,これは,単にそれらによるケアが効果的であるのみならず,家庭で安価かつ容易に入手でき,家族が毎日それらを用いてケアができる利点が大きい.3 看護師や薬剤師,リハビリテーションスタッフとの連携看護師との連携が在宅医療における褥瘡ケアの要諦である.多くの訪問看護師は褥瘡ケアに関心をもっている.医師は,在宅医療の実施において,スキンケアや褥瘡の早期発見を訪問看護師に委ねることができると,おおむね考えてよい.すでに褥瘡が発生した患者においては,ケアの基本的な方針を看護師に委ねることができることが多い.重要な点は,狭い意味での褥瘡ケアにとらわれず,患者の栄養状態の改善,臥床時等の体圧分散,車いす乗車時の姿勢や乗車時間の長さ,排泄のあり方などに留意して看護師等とケア方法について話し合うことである.栄養,体圧分散,姿勢,排泄方法などの改善が,褥瘡そのものに対する治療行為よりも,褥瘡改善に寄与することが少なくない.看護師は,これらすべての生活行動援助に携わる職種である点において,褥瘡ケアの主役たりえる.患者が臥床している時などに姿勢を制御する「ポジショニング」においては,体圧が分散するようにクッションやピローを使用するが,その作業においては理学療法士などの意見を参考にするとよい.また,体圧分散マットレスの導入や,患者を無理なく移動するためのリフター(リフト)などの導入においても,看護師やリハビリテーションスタッフの意見を聞くことが有効である.最近では褥瘡に関心をもち,訪問活動を行う薬剤師も散見されるようになってきた.褥瘡ケアにおける薬物選択は訪問活動を行う薬剤師と相談すると有効なことがある.