ブックタイトル小児の訪問診療も始めるための31のポイント

概要

小児の訪問診療も始めるための31のポイント

2．NICU から退院してくる子どもと家族の物語9H さんで，みんな僕の言いたいことを一生懸命わかってくれようとしているし，体に触れてきれいにしてくれたり，絵本を読んだり，工作したり，歌ったりして遊んでくれて，ほっとさせて楽しくしてくれる大事な友達さ（図2-1）．僕にとっては職種なんてどうでもいいんだ．でもおかあは，「皆さんプロの職業人として本当にすばらしいし，心をこめてかわいがってくださる」と感激している．そして，もうひとつ僕の大事な友達は，呼吸を担当してくれるHT70 くんと，のどにくっついているカニューレ，ごはんの道具の胃瘻ボタンと，イルリガートルと接続チューブたちだ．もう4年もつきあってるからね．きみたちの名前もしっかり覚えているし，サイズが変わるのもわかるんだから，ちゃんと僕に相談してよね．僕の自慢は，飛行機に乗ったことかな．救急車は，数えきれないけどね．4 年前の春，おかあのおなかにいる時に初めて飛行機に乗って，おばあちゃんおじいちゃんのおうちにいったよ．おかあは，おばあちゃんのおうちのそばの産婦人科医院で，「順調です」って言われて，嬉しそうに，早く僕に会いたいって言ってたよ．予定日を3 日過ぎた．破水！いよいよ僕とおかあの共同作業の日がきたんだ．おかあは，おじいちゃんとおばあちゃんと一緒に産婦人科に行ったけど，まだ僕はおなかの中でのんびりしてるって説明されてた．破水して時間が経ってしまうと，僕もおかあも具合が悪くなるので，おかあは，息を合わせて，「ふっふっはぁ」と，必死に僕を守ってくれていた．でも僕は時々苦しくなって，おかあと，もがいたり，くたびれたりを繰り返した．どれくらい時間が経ったのだろう．破水したのは夜中で，僕が生まれる前の日で，おかあは2 日もおなかが痛かったんだって．僕は生まれる2図2-1　訪問看護