ブックタイトル血管内皮機能を診る
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血管内皮機能を診る
16 第1 章 血管内皮機能総論突然死の原因となる46()図1?17).冠攣縮と血管内皮細胞との関係については,1980年にウサギにおいて冠動脈内の血管内皮細胞を機械的にはがしてしまうと,その部分は局所的に動脈硬化を生じ,エルゴノビン負荷にて反応性の冠攣縮を引き起こすことで明らかにされた47).さらに,ヒスタミンを冠動脈内や経静脈的に注入することでミニ豚に実験的に冠攣縮を繰り返し引き起こすと,冠動脈に動脈硬化が引き起こされることが証明されている48). これらの知見により,冠攣縮の原因が血管内皮機能異常により生じることが発見され,さらに動脈硬化性病変を惹起することが明らかとなった. 動脈硬化の初期段階では,さまざまな血管内皮傷害因子により,内皮機能障害が引き起こされる.この段階では,動脈硬化進展に伴う器質的変化,すなわち構造的・形状的な変化には至っておらず,可逆的な機能的変化が主体と考えられている.このため,血管内皮機能を診ることは,動脈硬化性疾患の早期発見・早期治療に有用であり,平成24 年度診療報酬改定において,「血管内皮機能検査」が新設された.血管内皮機能検査は,検査方法および部位数に関わらず,月に1 回に限り,一連の検査として200 点を算定できるようになった(表1?2). 循環器予防医学の視点では,心血管病の疾病管理として冠危険因子の是正を目指すこと7.今,なぜ血管内皮機能が注目されているのか?図1?17 冠攣縮性狭心症と器質的冠動脈狭窄急性心筋梗塞の原因には,冠攣縮性狭心症によるものと,プラーク破綻による器質的な冠動脈狭窄~閉塞の2 種類がある.冠攣縮性狭心症は,夜間から早朝にかけての安静時に発作が多く,急性心筋梗塞や突然死の原因となる.正常冠動脈アテローム性動脈硬化冠攣縮性狭心症冠攣縮血管内皮機能異常器質的冠動脈狭窄急性冠症候群発症血栓プラークプラーク