ブックタイトル血管内皮機能を診る

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概要

血管内皮機能を診る

76 第7 章 臨床現場での血管内皮機能活用の実際 本章では,血管内皮機能検査を活用した循環器疾病管理の実際について,その典型例としてのチャンピオンデータを紹介する. 筆者らは,包括的心臓リハビリテーションの評価指標の1 つとして,簡便に施行可能なRH?PAT による血管内皮機能を測定し,「がんばりの見える化」を動機継続につなげ,患者指導に役立てている(Case 1).また,脂質異常症や糖尿病における薬物治療選択においては,血管内皮機能検査によって,最も効果的な組み合わせを選ぶことが可能となり,患者それぞれに最適な「テーラーメード動脈硬化進展予防策」を講ずることができると考えている. 冠動脈疾患,2 型糖尿病,高血圧,肥満,慢性腎臓病,高コレステロール血症において,血管内皮機能は低下していることが報告されているため,これらの病態における血管内皮機能の改善は,疾病管理の効果判定指標として有用であると考えられる(Case 2~5).baPWV,CAVI,ABI,頸動脈エコー,冠動脈CT など,その他の動脈硬化進展指標の組み合わせた時系列的な評価が,長期的な疾病管理に有効である(表7?1).1.肥満患者への減量指導2.動脈硬化進展予防のための循環器疾病管理Case 1 減量指導への活用52 歳 女性,主婦,BW 105 kg,BMI 43 kg/m2.高血圧,脂質異常症,糖尿病にて外来加療中.半年前より食事指導・運動指導を行うも,運動は続かず,間食が減らせず,なかなか体重は減らなかった.RH?PAT index 1.2 と低値であったため,減量の効果判定指標の1 つとして血管内皮機能測定を行った.2 ヵ月間,間食を減らしたところ,体重減少は1.2 kg のみであったが,RH?PAT index は目標値の1.5 を上回る改善を示した.定期的にRH?PAT index を測定することで,本人の減量に対する意識が高まり,ウォーキングの継続も可能となった.1 年後には,さらに6.6 kg の減量に成功した.1 年後RH?PAT 1.87BW 97.2 kg開始時RH?PAT 1.21BW 105.0 kg2 ヵ月後RH?PAT 1.72BW 103.8 kg