ブックタイトルエキスパートが本音で明かす 不整脈診療の極意
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エキスパートが本音で明かす 不整脈診療の極意
253.不整脈のリスク評価をどこまで行う?I 予測困難な初発心室細動患者をいかに救命するか? 心室細動からの救命例や心室性不整脈に起因した失神歴を有する有症候性の Brugada 症候群の予後は不良であり,ICD が唯一の治療法である.しかし,当然ながら,心室細動や失神発作を初発するまでは無症候性に経過しているため,予測困難な初発心室細動発作をいかに救命するかが重要である.自験例を示す14).40 歳代男性.失神の既往や突然死の家族歴なし.毎年の健診で心電図異常を指摘されたことはなく,発症1 年前の健診時心電図では軽度のsaddleback 型心電図波形を呈していたが,異常とは判定されなかった(図3 - 4). 7年前の4月深夜,仕事から帰宅し自宅で飲酒・食事中に,突然,前駆症状なく意識消失した.5分後に妻が胸骨圧迫を開始し,約8分後に救急隊が到着し,モニター心電図にて心室細動が確認された(図3 - 5).自動体外式除細動器(AED)による電気的除細動が施行され,意識消失から17 分後に救急車内で自己心拍が再開し,当院救命救急センターに搬送された.来院時,12 誘導心電図では,V1 ?V2 誘導で2.5mm のsaddleback 型ST上昇を認めた(図3 - 6).集中治療室(ICU)入室から15時間後に後遺症なく意識が回復し,第30病日にICD 植込みを行った. 本症例では器質的心疾患は認められず,EPS を行うも心室頻拍・心室細動は誘発されなかった.しかし,ICD 植込み後から現在までに5 回のICD 適切作動(心室細動発作,図3 - 7)を認め,突然死を回避している.Case1図3-4 心室細動発症1 年前の健診時心電図ⅠⅡⅢⅤ1Ⅴ2Ⅴ3Ⅴ4Ⅴ5Ⅴ6aⅤRaⅤLaⅤF図3-5 救急車内モニター心電図で記録された心室細動2mV0mV-2mV02:24:30 02:24:32 02:24:34 02:24:36 02:24:38 02:24:40 02:24:42L A L L L L L L ? ? ? ?? N V VV N ? V V ?? ? V ? ? V VV ? ? ?Pads 0.2mV/分,12.5mm/秒(-2mV~+2mV)Artifact detectedHeart rateShock advisedCharging