ブックタイトルエキスパートが本音で明かす 不整脈診療の極意
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エキスパートが本音で明かす 不整脈診療の極意
10115.アブレーションを行う? 行わない? -1なっている.? しかしながら,とくに若年者の無症候性心房細動に対して,自覚症状がないからといって治療介入せず,早期に慢性化してしまう過程を経過観察のみとし,アブレーションのタイミングを逃してしまうことがよいのか,疑問が残る.無症候性心房細動に対するカテーテルアブレーションのメリットと臨床的問題点を表15 - 1 に示す.C どのような無症候性心房細動症例に対してカテーテルアブレーションを検討すべきか?? 無症候性心房細動に対する治療介入は,今後さらなる検討が必要となるであろうが,持続性心房細動に移行して数年経過するとカテーテルアブレーションの治療成績も低下する可能性があり,患者に治療法の選択肢を説明し,患者自身の希望を聞くことが現時点では重要と考えられる.そのうえで,カテーテルアブレーションをすすめるポイントを提示する(表15 - 2).抗不整脈薬や電気的除細動が無効であること? すでにふれたとおり,カテーテルアブレーションは抗不整脈薬より優れたリズムコントロール治療であることは間違いないが,臨床上は第一選択として抗不整脈薬が現在も使用されている.個人的には,抗不整脈薬を最初に用いる最大の理由として,患者側の病状や治療への受け入れかたを見きわめる意味が大きいと考えている.? おそらく,はじめて心房細動と診断され,初診の段階でカテーテルアブレーションを受け入れることは,多くの場合,困難であろう.治療経過において,抗不整脈薬が無効である,あるいは無効になってきたことを医師および患者が認識することによって,患者に次のステージの治療を推奨するひとつの判断材料を提供できるきっかけとなる.とくに,抗不整脈薬の投与にかかわらず発作性心房細動から持続性心房細動に移行してきた症例,さらには電気的除細動後も早期に再発が認められるような症例には,症状の有無にかかわらずア表15-2 無症候性心房細動にカテーテルアブレーションをすすめるうえでの3 つのポイント①抗不整脈薬や電気的除細動が無効である(病識をもたせる)②比較的若年であり,将来的な抗凝固療法が回避可能と考えられる症例(CHADS2スコア2 点未満)③持続性心房細動例では左房拡大が軽度であり,持続期間が長期でない(1 ?2 年程度)表15-1 無症候性心房細動に対するカテーテルアブレーションのメリットと問題点メリット・心房細動が根治できる可能性がある →将来的な長期抗凝固療法を回避できる可能性・心機能や運動耐容能の改善が期待できる問題点・自覚症状がないため病識が乏しい →侵襲的治療を受け入れられない可能性・自覚症状がないため再発評価がより困難・心房細動の持続期間が長いと再発率が高い可能性がある