ブックタイトル医療機関における新型インフルエンザ等対策 ミニマムエッセンシャルズ

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概要

医療機関における新型インフルエンザ等対策 ミニマムエッセンシャルズ

145サマリ新型インフルエンザ等の院内感染対策について,医療機関の特性や規模に応じた診療継続計画business continuity plan(BCP)の作成が求められており,新型インフルエンザ等の患者の受診や入院を想定した計画を立案する必要がある.従来の院内感染対策マニュアルの見直しはもちろん,患者への啓蒙や感染者の空間的分離,標準予防策の徹底と飛沫・接触予防策の実施,およびワクチン接種,抗インフルエンザウイルス薬の予防投与,院内環境整備等について解説する.新型インフルエンザ等の特徴と院内感染新型インフルエンザ等は,ほとんどの人が免疫を持っていないため,急速に拡大する可能性が高い.院内感染として感染が拡大する発端は,見舞客や患者の家族,医療スタッフなどがウイルスを院内に持ち込むことから始まる.入院患者の多くが集団生活している上に患者間隔が狭い点も感染を拡大させる原因の一つと言える.ひとたび感染が病院内で拡大すれば,免疫不全などの易感染患者や術後の患者においては,当然重症化する可能性が高い.さらに,喘息など慢性の呼吸器疾患のある場合や,心疾患,糖尿病,妊娠中では,二次的な細菌感染により肺炎に移行して重篤になりやすい.政府行動計画・ガイドラインの対象となる新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下,「特措法」)第2 条第1 号に規定する「新型インフルエンザ等」は,感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下,「感染症法」)に規定する「新型インフルエンザ等感染症」と「新感染症」(ただし,全国的かつ急速なまん延のおそれのあるものに限定)が該当する(表2─9─1).すべての医療機関においては,医療機関の特性や規模に応じたBCP の作成が求められており,新型インフルエンザ等の発生を想定した計画を立案する必要がある.A9 新型インフルエンザ等の院内感染対策について