ブックタイトルNICUにおける抗菌薬の使い方10の秘訣
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NICUにおける抗菌薬の使い方10の秘訣
在胎28 週1 日,1,216 g で出生した極低出生体重児.出生直後に呼吸窮迫症候群(RDS)として加療.以後,経過順調であったが,日齢40 にそれまで安定していたバイタルサインが不安定となり,低体温を認め無呼吸発作を頻発した.身体・検査所見(日齢40) 体温35.9℃,体重1,165 g,WBC 11,670/mm3,CRP 6.4 mg/dL.体動は少なく,クベース内で安定していた体温が低下し,無呼吸発作のため,酸素飽和度の低下をしばしば認めた. 本症例では日齢3 までABPC+CTX が投与されていたが,日齢4 以降1 ヵ月以上抗菌薬投与は行われていない.以下に日齢40 までの細菌培養の経過を示す.日齢19 日齢34血液(-)便(-)咽頭膿MRSA 通常であれば4 4 4 4 4 4ABPC4 4 4 4+4CTX4 4 4で開始4 4 4するところであるが,日齢34 に足関節の点滴漏れ部位に小膿疱を認めており,培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出されていた.このことから,局所感染から全身感染へと波及したと想定し,MRSA をターゲットとした抗菌薬IPM4 4 4/4CS4 4および4 4 4ABK4 4 4を選択した.注射用抗MRSA 薬の国内における承認は,ABK が1990年,VCM が1991 年11 月,TEIC が1998 年,LZD が2001 年であり,カルバペネムの承認はIPM/CS が1987 年,PAPM/BP が1993 年,MEPM が1995 年,DRPM が2005 年である.MRSA を想定して,本症例を経験した1991 年3 月の時点で使用可能なカルバペネムであるIPM/CS の投与を開始し,翌日から使用可能な抗MRSA であるABK との併用を選択した.なお用法・用量に関しては,IPM/CS は通常量で体重当たりで切りのよい用量(70 mg/kg/日)とし,ABK は1 日2 回投与(5 mg/kg/日)とした.ABK の1 日1 回投与が承認されたのは不安定なバイタルサイン:低体温,頻発する無呼吸発作症例1バイタルサインが安定→不安定・新生児,特に低出生体重児において,安定していたバイタルサインが不安定となった場合は常に細菌感染症の発症(合併)を疑う!・各種細菌培養を行い速やかな抗菌薬投与が必要!ポイントここが126